【この記事の結論】 ホスピス・緩和ケアの費用は場所により月額3〜30万円で、高額療養費制度を使えば自己負担を大幅に抑えられます。

  • 緩和ケア病棟 — 月額約25〜30万円(1割負担・食費・差額ベッド代含む)
  • 在宅緩和ケア — 月額約3〜10万円(訪問診療・訪問看護の1割負担)
  • 高額療養費制度 — 70歳以上・一般所得なら月額上限57,600円まで軽減可能

この記事の対象読者: がん患者のご家族で療養先を検討中の方/緩和ケアの費用に不安がある方/ホスピスと緩和ケアの違いを知りたい方
読んだら今日やること: お住まいの地域の緩和ケア病棟やホスピスに電話で費用の概算を問い合わせてみましょう

大切な家族ががんなどの病気と向き合うとき、「緩和ケアやホスピスの費用はどのくらいかかるのだろう」と心配になる方は多いでしょう。

この記事では、ホスピスと緩和ケアの違いをわかりやすく説明したうえで、入院(緩和ケア病棟)・施設・在宅の3パターンの費用相場を具体的な金額で比較します。高額療養費制度や医療費控除など、費用を軽減できる制度もあわせて紹介します。

ホスピスと緩和ケアの違いとは

ホスピスとは

ホスピスとは、がんなどの病気で治癒が難しい患者さんが、残りの時間を自分らしく穏やかに過ごすための施設やケアの考え方です。

痛みや苦しみを和らげることを最優先とし、延命治療よりも生活の質(QOL)の向上を大切にします。

緩和ケアとは

緩和ケアとは、身体的な痛みだけでなく、精神的な不安や社会的な悩みを含めた「全人的な苦痛」を和らげるケアです。

がんと診断された時点から受けられるのが大きな特徴で、治療と並行して行うことができます。「終末期だけのもの」というイメージは誤解です。

緩和ケアを受けられる3つの場所

緩和ケアを受けられる場所は大きく3つに分かれます。

場所 特徴 費用の目安(月額)
緩和ケア病棟(入院) 専門スタッフによる24時間体制のケア 約25〜30万円
ホスピス型施設 住宅型で看取りまで対応 約15〜30万円
在宅緩和ケア 自宅で訪問診療・訪問看護を受ける 約3〜10万円

このほか、通院しながら受ける緩和ケア外来もあり、最も費用を抑えられる方法です。

【場所別】緩和ケアの費用相場を比較

緩和ケア病棟(入院)の費用|月額25〜30万円

病院の緩和ケア病棟に入院する場合の費用は、月額約25〜30万円が目安です(1割負担の場合)。

内訳は以下のとおりです。

項目 月額の目安
入院料(1割負担) 約15万円
食費(1食490円×3食×30日) 約4.4万円
差額ベッド代(個室の場合) 0〜8万円
その他(日用品・洗濯等) 数千円〜

3割負担の方は、入院料だけで月額約45万円になります。ただし、後述する高額療養費制度を利用すれば、実際の負担は大幅に軽減されます。

ホスピス型施設の費用|月額15〜30万円

ホスピス型の住宅(サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム)に入居する場合、月額約15〜30万円が相場です。

家賃・管理費・食費が主な費用で、医療費は別途かかります。介護保険や医療保険が適用される部分もあるため、施設ごとに見積もりを取ることが大切です。

在宅緩和ケアの費用|月額3〜10万円

自宅で緩和ケアを受ける場合は、月額約3〜10万円と最も費用を抑えられます。

サービス 月額の目安(1割負担)
訪問診療(月2回) 約6,000〜7,000円
訪問看護(週1〜3回) 約5,000〜15,000円
薬剤費 数千円〜
介護用品レンタル等 数千円〜

住み慣れた自宅で過ごせることが最大のメリットですが、ご家族の介護負担が大きくなる可能性もあります。訪問看護や訪問介護を組み合わせて、無理のない体制を整えましょう。

緩和ケア外来の費用

通院できる状態であれば、緩和ケア外来を利用する方法もあります。

診察代に加えて1回あたり約900円(3割負担)〜3,000円程度の追加費用で緩和ケアを受けられます。入院や在宅と比べて最もリーズナブルな選択肢です。

緩和ケア病棟の費用内訳を詳しく解説

入院料(緩和ケア病棟入院料)

緩和ケア病棟の入院料は、入院日数によって段階的に変わります。

入院日数 1日あたりの入院料
30日以内 50,510円
31〜60日 45,070円
61日以降 33,350円

※緩和ケア病棟入院料1の場合。医療保険が適用されるため、実際の自己負担は1〜3割です。

食費

入院中の食費は1食あたり490円と定められています。1日3食で1,470円、月額では約44,100円です。食費は高額療養費制度の対象にはなりません。

差額ベッド代の注意点

個室や少人数部屋を希望する場合、差額ベッド代がかかります。この費用は健康保険の対象外で、全額自己負担です。

1日あたり数千円〜数万円と病院によって大きく異なります。入院前に必ず確認しましょう。

なお、治療上の必要性から個室に入る場合は、差額ベッド代を請求されないこともあります。

緩和ケアの費用を軽減できる4つの制度

高額療養費制度

1か月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。

年齢・所得区分 自己負担の上限額(月額)
70歳以上・一般所得 57,600円
70歳以上・住民税非課税 24,600円
69歳以下・年収370〜770万円 約80,000円+α

たとえば70歳以上・一般所得の方が緩和ケア病棟に入院した場合、医療費の自己負担は月額57,600円が上限になります。

限度額適用認定証

高額療養費制度は後から払い戻しを受ける仕組みですが、限度額適用認定証を事前に申請すれば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。

加入している健康保険の窓口で申請できます。入院が決まったら、早めに手続きしておきましょう。

医療費控除

年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税の一部が還付されます。

緩和ケアの費用だけでなく、通院の交通費や薬代も対象になります。領収書は必ず保管しておきましょう。

介護保険の活用

要介護認定を受けている方は、訪問看護や訪問介護、介護用品のレンタルなどに介護保険を利用できます。

自己負担は原則1割(所得に応じて2〜3割)で、在宅緩和ケアの費用をさらに軽減できます。担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

ホスピス・緩和ケアに関するよくある質問

Q. 緩和ケアはがん以外でも受けられますか?

はい、受けられます。2018年からは心不全や呼吸器疾患などがん以外の疾患でも緩和ケアが推奨されています。ただし、緩和ケア病棟への入院はがん患者またはエイズ患者が対象です。

Q. 緩和ケア病棟の入院期間に制限はありますか?

法的な入院日数の制限はありません。ただし、入院料は30日、60日を境に段階的に下がるため、病院側の運営上、長期入院が難しいケースもあります。入院時に主治医に確認しましょう。

Q. ホスピス型施設と緩和ケア病棟の違いは何ですか?

緩和ケア病棟は病院内の一部門で、医師や看護師による24時間の医療体制があります。ホスピス型施設は住宅としての位置づけで、生活の場として最期まで過ごせる点が特徴です。費用面ではホスピス型施設の方がやや安い傾向があります。

Q. 緩和ケアの費用は生命保険の対象になりますか?

多くの生命保険では、入院給付金や手術給付金の対象になります。ただし、保険の種類や契約内容によって異なるため、保険会社に直接確認することをおすすめします。

まとめ

ホスピス・緩和ケアの費用は、場所によって月額3万円〜30万円と幅があります。

場所 月額費用の目安 特徴
緩和ケア病棟 約25〜30万円 24時間の専門的ケア
ホスピス型施設 約15〜30万円 生活の場として看取りまで
在宅緩和ケア 約3〜10万円 住み慣れた自宅で過ごせる

高額療養費制度を活用すれば、医療費の自己負担は月額57,600円(70歳以上・一般所得)が上限になります。

費用面の不安から緩和ケアをためらう方もいらっしゃいますが、さまざまな負担軽減制度を組み合わせることで、想像よりも負担を抑えられるケースが多いです。

まずは、かかりつけ医や病院の医療相談窓口に費用の概算を相談してみましょう

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※この記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な費用は医療機関・施設によって異なりますので、詳しくは各窓口にお問い合わせください。