【この記事の結論】 介護保険の申請は市区町村の窓口で行い、申請→認定調査→審査→結果通知まで約30日。必要書類は被保険者証・申請書・主治医の情報の3点です。

  • 申請窓口 — 市区町村の介護保険課または地域包括支援センター。本人以外に家族やケアマネジャーも代理申請できる
  • 認定調査 — 調査員が自宅を訪問し、74項目をチェック。家族の同席と事前メモが認定のカギ
  • 認定結果 — 要支援1〜要介護5の7段階で判定。結果に応じてケアプランを作成し、介護サービスの利用が始まる

この記事の対象読者: 親の介護が必要になり介護保険の申請を考えている方、申請の流れや必要書類を知りたい方 読んだら今日やること: お住まいの地域包括支援センターに電話し、申請の相談をしてみましょう

「介護保険を申請したいけれど、何から始めればいいか分からない…」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。

この記事では、介護保険の申請に必要な書類から認定調査のポイント、認定後の流れまでを7ステップで分かりやすく解説します。代理申請の方法やよくある質問もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

介護保険の申請に必要なものは?

介護保険の申請に必要な書類は多くありません。事前に準備しておけば、窓口での手続きは15〜20分程度で終わります。

必要書類チェックリスト

申請の前に、以下の書類を準備しましょう。

書類 入手方法 補足
介護保険被保険者証 65歳の誕生月に市区町村から郵送 紛失した場合は再発行できる
要介護認定申請書 市区町村の窓口またはHPからダウンロード 当日窓口で記入も可能
マイナンバーカード(または通知カード) 本人確認に必要
本人確認書類 運転免許証、パスポートなど マイナンバーカードがあれば不要
健康保険証 40〜64歳(第2号被保険者)の場合のみ

被保険者証を紛失した場合は、市区町村の窓口で再発行を申請できます。 再発行には本人確認書類が必要です。

主治医の情報を事前に確認する

申請書には主治医の情報を記入する欄があります。以下を事前に確認しておきましょう。

  • 医療機関名
  • 主治医の氏名
  • 医療機関の住所・電話番号

主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受けることになります。かかりつけ医がいる方は、申請前に「介護保険の申請を考えている」と伝えておくとスムーズです。

申請できるのは誰?(本人・家族・代理)

介護保険の申請は、本人以外でも行えます。

申請できる人 必要なもの
本人 上記の必要書類
家族・親族 本人の必要書類 + 代理人の本人確認書類
地域包括支援センター 本人の必要書類(代行申請)
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー) 本人の必要書類(代行申請)

入院中や体調が悪く窓口に行けない場合は、家族が代わりに申請できます。近くに家族がいない場合は、地域包括支援センターに相談すると代行してもらえます。

介護保険の申請から認定までの7ステップとは?

介護保険の申請から認定結果が届くまでの流れを、7つのステップで解説します。全体の所要期間は約30日が目安です。

ステップ1 — 地域包括支援センターに相談する

まずはお住まいの地域包括支援センターに相談しましょう。

地域包括支援センターは、介護に関するあらゆる相談を無料で受けている総合窓口です。「親の介護が必要かもしれない」という段階でも気軽に相談できます。

センターでは以下のようなサポートを受けられます。

  • 介護保険の申請が必要かどうかのアドバイス
  • 申請手続きの代行
  • 適切なサービスや施設の情報提供

お住まいの地域のセンターは、市区町村のホームページか介護保険課への電話で確認できます。

ステップ2 — 市区町村の窓口で申請書を提出する

準備した書類を持って、市区町村の介護保険課の窓口で申請します。

窓口では申請書を記入(または提出)し、主治医の情報を伝えます。申請が受理されると、認定調査の日程調整の連絡が来ます。

申請書の記入で迷いやすいポイント:

  • 「現在の状態」欄: できないことを具体的に書く(例:「一人でトイレに行けない」「食事の準備ができない」)
  • 「主治医」欄: かかりつけ医の情報を正確に記入する
  • 「申請理由」欄: 介護が必要になったきっかけを簡潔に書く

ステップ3 — 認定調査を受ける(訪問調査)

申請から約10日〜2週間後に、市区町村の認定調査員が自宅を訪問します。

調査員は74項目のチェック項目に沿って、本人の身体機能や認知機能、日常生活の状況を確認します。調査時間は約1時間です。

調査カテゴリ 主な項目例
身体機能(13項目) 麻痺の有無、寝返り、起き上がり、歩行、立ち上がり
生活機能(12項目) 食事、排泄、入浴、着替え、移動、口腔清潔
認知機能(9項目) 意思伝達、記憶、場所の理解、日課の理解
精神・行動障害(15項目) 徘徊、昼夜逆転、感情の不安定、被害妄想
社会生活(6項目) 薬の内服、金銭管理、買い物、調理
医療関連(12項目) 点滴管理、透析、酸素療法、褥瘡の処置

ステップ4 — 主治医意見書が作成される

市区町村から主治医に「主治医意見書」の作成が依頼されます。

主治医意見書は、本人の病気やケガの状況、心身の状態、介護サービスの必要性について医師が記載するものです。申請者本人が手続きする必要はありません。

費用は市区町村が負担するため、本人の支払いはありません。

ステップ5 — 一次判定(コンピュータ判定)

認定調査の結果をもとに、コンピュータが自動的に一次判定を行います。

全国共通のソフトウェアを使い、74項目の調査結果から「どのくらいの介護が必要か」を数値化します。

ステップ6 — 二次判定(介護認定審査会)

一次判定の結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が最終的な要介護度を判定します。

介護認定審査会は、医療・福祉の専門家5名程度で構成される委員会です。一次判定の結果を確認しつつ、主治医意見書の内容や特記事項を加味して総合的に判断します。

ステップ7 — 認定結果の通知を受け取る

申請から原則30日以内に、認定結果が郵送で届きます。

結果は「非該当」「要支援1〜2」「要介護1〜5」のいずれかで通知されます。認定結果に不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます(参考: 厚生労働省「サービス利用までの流れ」)。

ポイント 申請日にさかのぼってサービスを利用できます。認定結果が届く前でも、暫定的にケアプランを作成してサービスを利用開始することが可能です。ただし、「非該当」となった場合は全額自己負担になるため、ケアマネジャーと相談のうえ判断しましょう。

認定調査で損しないためのポイントは?

認定調査は「普段の状態」を正確に伝えることが最も大切です。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

普段の状態を正確に伝える

調査員の前では緊張して、普段よりも「しっかりした姿」を見せてしまう方が少なくありません。

しかし、「できるだけ良く見せよう」とすると、実際よりも軽い要介護度に判定される可能性があります。日によって調子が良い日と悪い日がある場合は、悪い日の状態も伝えましょう。

家族が同席して補足する

認定調査には家族が同席することを強くおすすめします。

本人は「まだ自分でできる」と思っていても、家族から見ると明らかに危険な状態であることがあります。具体的なエピソード(転倒した回数、徘徊の頻度、食事量の変化など)を伝えると、調査員が正確に把握しやすくなります。

困っていることをメモにまとめておく

調査当日に「何を伝えればいいか分からない」とならないよう、事前にメモを作っておきましょう。

メモに書いておくと良い内容:

  • 日常生活で困っていること(具体的に)
  • 最近の状態の変化(いつ頃からどう変わったか)
  • 夜間の状態(昼と夜で違いがある場合)
  • 医療的なケアの状況(服薬、通院、処置など)
  • 危険だったエピソード(転倒、火の消し忘れなど)

要介護度の区分と利用できるサービスとは?

認定結果は7段階に分かれています。区分によって利用できるサービスの量と種類が異なります。

区分 状態の目安 区分支給限度額/月 自己負担(1割の場合)
要支援1 日常生活はほぼ自立。一部支援が必要 約50,320円 約5,032円
要支援2 日常生活に支援が必要 約105,310円 約10,531円
要介護1 立ち上がり・歩行が不安定 約167,650円 約16,765円
要介護2 日常生活動作に介助が必要 約197,050円 約19,705円
要介護3 歩行が困難。ほぼ全面的な介護が必要 約270,480円 約27,048円
要介護4 日常生活全般に全面的な介護が必要 約309,380円 約30,938円
要介護5 寝たきりなど最重度の介護が必要 約362,170円 約36,217円

自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割のいずれかです。ほとんどの方は1割負担です。

介護施設の種類と選び方についても確認しておくと、認定後のサービス選びがスムーズです。

認定結果が出た後の流れは?

認定結果が届いたら、ケアマネジャーと一緒にケアプランを作成し、介護サービスの利用を開始します。

ケアマネジャーを選ぶ

要介護1〜5と認定された方は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランの作成を依頼します。

ケアマネジャーの選び方は、地域包括支援センターに相談するのが一番確実です。お住まいの地域の事業所リストをもらえます。

ケアプランの作成費用は全額介護保険から支払われるため、自己負担はありません。

ケアプランを作成する

ケアマネジャーが本人・家族と面談し、「どのサービスをどのくらい利用するか」を計画します。

利用できる主なサービスには以下があります。

  • 訪問サービス: 訪問介護(ヘルパー)、訪問看護、訪問リハビリ
  • 通所サービス: デイサービス、デイケア(通所リハビリ)
  • 短期入所サービス: ショートステイ
  • 施設サービス: 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設
  • 福祉用具: レンタル(車椅子、介護ベッド等)、購入(入浴補助用具等)

介護サービスの利用を開始する

ケアプランが完成したら、各サービス事業所と契約して利用が始まります。

施設への入居を検討している場合は、老人ホームの費用相場費用が払えないときの対処法もあわせて確認しておくと安心です。

40〜64歳でも介護保険を申請できる?(特定疾病)

40〜64歳の方(第2号被保険者)は、以下の16種類の「特定疾病」が原因で介護が必要になった場合に申請できます。

# 特定疾病
1 がん(末期)
2 関節リウマチ
3 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
4 後縦靭帯骨化症
5 骨折を伴う骨粗鬆症
6 初老期における認知症
7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
8 脊髄小脳変性症
9 脊柱管狭窄症
10 早老症
11 多系統萎縮症
12 糖尿病性神経障害・腎症・網膜症
13 脳血管疾患
14 閉塞性動脈硬化症
15 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
16 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

上記に該当するかどうか分からない場合は、主治医や地域包括支援センターに相談してください。

介護保険の申請に関するよくある質問(FAQ)

Q. 申請から認定結果が出るまでどれくらいかかる?

A. 介護保険法では申請から30日以内に通知することと定められています。ただし、認定調査の日程調整や主治医意見書の作成に時間がかかる場合は、1ヶ月以上かかることもあります。急いでいる場合は、申請時にその旨を窓口に伝えましょう。

Q. 認定結果に納得できない場合はどうする?

A. まず市区町村の窓口に相談し、認定の理由を確認しましょう。それでも納得できない場合は、都道府県の介護保険審査会に「審査請求」ができます。また、状態が変化した場合は「区分変更申請」を行うことも可能です。

Q. 申請前でも介護サービスは使える?

A. はい、使えます。申請日にさかのぼってサービスを利用できるため、申請と同時に暫定ケアプランを作成してサービスを開始できます。ただし、「非該当」と判定された場合は全額自己負担になるため注意が必要です。

Q. 認定の更新はいつ必要?

A. 初回の認定有効期間は原則6ヶ月です。その後の更新は12ヶ月〜48ヶ月の範囲で設定されます。有効期間満了の60日前から更新申請が可能です。更新を忘れると介護サービスが利用できなくなるため、期限を必ず確認しましょう。

まとめ

介護保険の申請は、以下の7ステップで進みます。

  1. 地域包括支援センターに相談する
  2. 市区町村の窓口で申請書を提出する
  3. 認定調査を受ける(訪問調査、74項目)
  4. 主治医意見書が作成される
  5. 一次判定(コンピュータ判定)
  6. 二次判定(介護認定審査会)
  7. 認定結果の通知を受け取る(申請から約30日)

認定調査では「普段の状態を正確に伝える」「家族が同席する」「困りごとをメモにまとめる」の3つがポイントです。

「どこに相談すればいいか分からない」という方は、まずお住まいの地域包括支援センターに電話してみてください。申請の相談から手続きの代行まで、無料でサポートしてもらえます。

介護施設の種類と選び方もあわせて確認し、認定後のサービス利用に備えておきましょう。


※ この記事は一般的な情報提供を目的としています。 個別の事情については、専門家(ケアマネジャー・社会福祉士など)にご相談ください。

最終更新日: 2026年2月21日

参考情報・出典