【この記事の結論】 エンディングノートは7つの項目を書きやすいところから埋めるだけで、家族の負担を大幅に軽減できます。

  • 基本情報・医療・葬儀 — 氏名や延命治療の希望、葬儀形式など自分の情報と意思を記録
  • 財産・保険・デジタル資産 — 預貯金・保険証券・サブスク契約を一覧化して相続手続きを円滑に
  • 家族へのメッセージ — 普段伝えにくい感謝の気持ちをノートに残せる

この記事の対象読者: エンディングノートを初めて書く方、何を書けばいいか迷っている方、家族の負担を減らしたい方

読んだら今日やること: ノートを1冊用意し、氏名・生年月日・かかりつけ医の3項目だけ書いてみましょう。

「エンディングノートを書いてみたいけれど、何をどう書けばいいの?」

そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。エンディングノート(終活ノート)は、万が一のときに家族が困らないよう、自分の情報や希望をまとめておくノートです。

書き方に決まったルールはなく、自分のペースで自由に進められます。ただ、いざ書こうとすると「項目が多くて大変そう」「何から始めればいいか分からない」と感じる方も少なくありません。

この記事では、エンディングノートに書くべき7つの項目を、具体的な記入例つきでやさしく解説します。書き始めのコツや保管の注意点もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

エンディングノートとは?遺言書との違い

まずはエンディングノートの基本を押さえておきましょう。

エンディングノートの役割と目的

エンディングノートとは、自分に万が一のことがあったときに備え、家族や大切な人に伝えたい情報・希望を書き記しておくノートです。「終活ノート」と呼ばれることもあります。

エンディングノートには、主に次の3つの役割があります。

  • 家族が手続きで困らないようにする: 預貯金の情報や保険の契約内容、連絡先リストなどをまとめておくことで、残された家族の負担を軽くできます
  • 自分の希望を伝える: 医療や介護、葬儀の希望など、言葉にしにくいことを文字で残せます
  • 自分自身の人生を振り返る: これまでの人生を整理することで、今後をより前向きに過ごすきっかけになります

エンディングノートは「死の準備」ではなく、「今をよりよく生きるためのノート」です。気持ちの整理にもつながりますので、前向きな気持ちで取り組んでみてください。エンディングノートの作成は終活をいつから始めるかを考えるきっかけにもなります。

遺言書との3つの違い

エンディングノートと遺言書は混同されがちですが、大きな違いがあります。

項目 エンディングノート 遺言書
法的効力 なし あり
書式 自由 法律で定められた形式が必要
内容 希望・情報・メッセージなど幅広い 主に財産の分配方法

最も大きな違いは「法的効力の有無」です。遺言書は民法で定められた形式に沿って作成すれば法的効力をもちますが、エンディングノートにはありません。なお、自筆の遺言書は法務局で保管できる制度もあります(参考: 法務省「自筆証書遺言書保管制度」)。

つまり、エンディングノートに「長男に自宅を相続させたい」と書いても、法律上の拘束力はないのです。財産の分け方を確実に指定したい場合は、遺言書の書き方を参考に別途作成しましょう。

一方、エンディングノートには遺言書にはない自由さがあります。介護の希望やデジタル資産の情報、家族へのメッセージなど、遺言書ではカバーしきれない幅広い内容を書き残せる点が大きな魅力です。

ポイント エンディングノートと遺言書は役割が異なります。両方を用意しておくと、より安心です。

エンディングノートの書き方|始める前に知っておきたい3つのコツ

「何から書けばいいのか分からない」という方のために、書き始めのコツを3つご紹介します。

書きやすい項目から始める

エンディングノートは、最初のページから順番に書く必要はありません。氏名や住所、かかりつけ医の情報など、すぐに書ける項目から始めましょう。

難しい項目は後回しにして構いません。空欄があっても問題はないので、「書けるところだけ書く」という気楽な気持ちで取り組んでみてください。

一度に完成させなくてよい

エンディングノートを1日で完成させる必要はまったくありません。毎日少しずつ書き足していくイメージで進めましょう。

たとえば「今日は基本情報だけ」「今週末は保険の情報を調べて書こう」というように、無理のないペースで進めるのがおすすめです。

鉛筆で書いて定期的に見直す

エンディングノートの内容は、時間とともに変わることがあります。住所が変わったり、保険を見直したり、気持ちが変化したりすることは自然なことです。

そのため、鉛筆やフリクション(消せるペン)で書くと、修正がしやすくなります。年に1回、お正月や誕生日などのタイミングで見直す習慣をつけると安心です。

【記入例つき】エンディングノートに書く7つの項目

ここからは、エンディングノートに書くべき7つの項目を、具体的な記入例とあわせて解説します。

項目1. 自分自身の基本情報

最初に書いておきたいのが、自分自身の基本情報です。亡くなった後の各種手続き(役所への届出、相続手続きなど)で必要になります。

書くべき内容:

項目 記入例
氏名 山田 太郎
生年月日 昭和30年4月15日
本籍地 東京都新宿区○○町1-2-3
現住所 東京都世田谷区○○1-2-3 ○○マンション301号
血液型 A型
電話番号 090-XXXX-XXXX
マイナンバー 保管場所:自宅書斎の引き出し
運転免許証番号 第XXXXXXXXXXXX号
健康保険証 保管場所:リビングの棚
趣味・好きなもの 将棋、温泉旅行、落語

本籍地は、相続手続きの際に戸籍謄本を集める必要があるため、必ず書いておきましょう。また、趣味や好きなものを書いておくと、介護が必要になったときの参考にもなります。

項目2. 医療・介護の希望

突然の入院や介護が必要になったとき、家族が判断に迷わないよう、医療や介護に関する希望を書いておきましょう。

書くべき内容:

項目 記入例
かかりつけ医 ○○クリニック(内科)田中医師 / 電話: 03-XXXX-XXXX
持病・アレルギー 高血圧(降圧剤を服用中)/ そばアレルギーあり
常用薬 アムロジピン5mg 1日1回朝食後
延命治療の希望 回復の見込みがない場合は希望しない
臓器提供の意思 提供してもよい(臓器提供意思表示カード所持)
介護の希望 可能な限り自宅で過ごしたい。困難になったら施設を検討してほしい
希望する介護施設 特になし。自宅近くの施設を希望
告知の希望 病名はすべて知らせてほしい

延命治療については、「人工呼吸器の装着」「点滴による栄養補給」「心臓マッサージ」など、項目ごとに希望を書いておくとより具体的です。厚生労働省も「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を公表しており、事前に家族や医療チームと話し合うことの重要性を示しています。

注意 エンディングノートに書いた医療の希望に法的効力はありません。ただし、本人の意思として尊重される場合が多いため、書いておくことには大きな意味があります。

項目3. 葬儀・お墓の希望

自分の葬儀やお墓について希望がある場合は、具体的に書いておきましょう。残された家族は、葬儀の準備を短時間で進めなければなりません。あらかじめ希望を伝えておくと、家族の精神的な負担を軽くできます。葬儀費用の目安を知りたい方は、家族葬の費用相場も参考にしてください。

書くべき内容:

項目 記入例
葬儀の形式 家族葬を希望(親族と親しい友人のみ)
葬儀の規模・予算 50万〜100万円程度でおさめてほしい
参列してほしい人 別紙の連絡先リストを参照
遺影に使う写真 リビングの棚にある旅行写真(箱根で撮影したもの)
棺に入れてほしいもの 愛読書(○○の本)、趣味の将棋の駒
宗教・宗派 浄土真宗 ○○寺(電話: 0XX-XXX-XXXX)
納骨先 ○○霊園(東京都○○区)家族の墓
供養の方法 お墓に納骨。将来的に墓じまいの検討は家族に任せる

喪主を誰にお願いしたいかや、葬儀社に心当たりがあればその情報も書いておくと親切です。

項目4. 財産・資産の情報

財産や資産の情報は、相続手続きをスムーズに進めるために欠かせません。「どこに何がどれくらいあるか」が分かるようにしておきましょう。

書くべき内容:

項目 記入例
預貯金 ○○銀行 ○○支店 普通口座(口座番号は通帳参照)/ △△銀行 ○○支店 定期口座
不動産 自宅マンション(東京都世田谷区○○)
有価証券 ○○証券に口座あり(株式・投資信託)
生命保険 ○○生命 終身保険(受取人: 妻 花子)/ △△生命 医療保険
借入金・ローン 住宅ローン残高あり(○○銀行、残り約500万円)
貸金庫 なし
その他の資産 ゴルフ会員権(○○カントリークラブ)

注意 口座の暗証番号やクレジットカード番号は、不正利用のリスクがあるため絶対に書かないでください。「○○銀行に口座がある」という事実だけで十分です。通帳や印鑑の保管場所を書いておくと、家族が手続きしやすくなります。

借金やローンなどの「負の財産」も忘れずに記載しましょう。マイナスの財産があることを家族が知らないと、相続放棄の判断が遅れる場合があります。

項目5. 保険・年金の情報

保険や年金の情報は、亡くなった後の届出や請求手続きに必要です。保険証券を探す手間を省けるよう、まとめて書いておきましょう。

書くべき内容:

項目 記入例
生命保険 ○○生命 / 証券番号: XXXXX / 受取人: 妻 花子 / 保険金額: 1,000万円
医療保険 △△生命 / 証券番号: XXXXX / 入院給付金: 日額5,000円
火災保険 ○○損保 / 対象: 自宅マンション
自動車保険 △△損保 / 対象: 普通自動車(品川○○ あ XXXX)
年金 厚生年金加入 / 基礎年金番号: XXXX-XXXXXX / 年金証書の保管場所: 書斎の引き出し

保険証券や年金証書の保管場所もあわせて書いておくと、手続きがスムーズに進みます。

項目6. デジタル資産・契約情報

近年、特に重要になっているのがデジタル資産の情報です。スマートフォンやパソコンのパスワード、定額サービス(サブスク)の契約情報を書いておくと、家族が後始末で困りません。具体的な整理手順についてはデジタル遺品の整理方法で詳しく解説しています。

書くべき内容:

項目 記入例
スマートフォン iPhone / パスワード: 別紙に記載(※封筒に入れて保管)
パソコン ○○メーカー / ログインパスワード: 別紙に記載
メールアドレス yamada.taro@○○.com(主に使用)
SNSアカウント Facebook: 利用中 → 追悼アカウントに変更希望 / X: 利用中 → 削除希望
サブスクリプション Netflix(月額990円)/ 新聞電子版(月額4,000円)/ Amazon Prime(年額5,900円)
クレジットカード ○○カード(VISA)/ △△カード(JCB)※カード番号は書かない
公共料金の引き落とし 電気: ○○電力 / ガス: ○○ガス / 水道: ○○市水道局
携帯電話 ○○モバイル / 月額約8,000円

パスワードは、エンディングノート本体には書かず、別紙に記入して封筒に入れ、ノートと一緒に保管する方法がおすすめです。セキュリティを確保しつつ、いざというときに家族が確認できます。

解約が必要なサブスクリプションは、放置すると毎月の引き落としが続いてしまいます。契約しているサービスの一覧と、それぞれの対応(解約・継続)の希望を書いておきましょう。デジタル資産も含めた身の回りの整理を進めたい方は、生前整理のやり方もあわせてご覧ください。

項目7. 家族へのメッセージ

エンディングノートの最後には、家族への感謝の気持ちやメッセージを書いておきましょう。普段は照れくさくて伝えにくい思いも、ノートなら素直に書けます。

記入例:

花子へ 長い間、支えてくれて本当にありがとう。あなたがそばにいてくれたから、幸せな人生でした。体に気をつけて、これからも元気に過ごしてね。

一郎へ いつも頼りにしているよ。仕事が忙しいと思うけれど、家族を大切にしてね。お母さんのことをよろしく頼みます。

美咲へ 小さかった頃が昨日のことのようです。自分の道をしっかり歩んでいるあなたを、とても誇りに思っています。

メッセージに正解や決まりはありません。思いつくままに、自分の言葉で書いてみてください。

エンディングノートを書くときの5つの注意点

エンディングノートを安全に活用するために、以下の5つの点に注意しましょう。

銀行口座の暗証番号やカード番号は書かない

エンディングノートには、銀行口座の暗証番号やクレジットカードの番号を書かないでください。万が一ノートを紛失したり、第三者の手に渡ったりした場合、不正利用のリスクがあります。

口座については「○○銀行○○支店に普通口座がある」という情報だけで十分です。通帳やキャッシュカードの保管場所をノートに書いておけば、家族が手続きを進められます。

遺言書の内容と矛盾しないようにする

遺言書をすでに作成している場合や、今後作成する予定がある場合は、エンディングノートの内容と矛盾しないように気をつけましょう。

たとえば、遺言書では「自宅を長男に相続させる」と書いているのに、エンディングノートに「自宅は売却して兄弟で分けてほしい」と書いてあると、家族が混乱してしまいます。

法的効力があるのは遺言書のほうですが、内容が食い違うとトラブルの原因になりかねません。

保管場所を家族に伝えておく

せっかくエンディングノートを書いても、家族がノートの存在を知らなければ意味がありません。ノートの保管場所は、必ず信頼できる家族に伝えておきましょう。

おすすめの保管場所は以下のとおりです。

  • 本棚の目立つ場所
  • 自宅の机の引き出し
  • 金庫(家族が開けられるもの)

銀行の貸金庫は、開けるために相続人全員の同意が必要になる場合があり、すぐに取り出せない可能性があります。避けたほうがよいでしょう。

また、エンディングノートの保管場所を小さなカードに書き、財布や手帳に入れて携帯する方法もあります。外出先での万が一にも備えられます。

年に1回は内容を見直す

エンディングノートは、書いたら終わりではありません。以下のような変化があったときは、内容を更新しましょう。

  • 引っ越しや転職で住所・連絡先が変わった
  • 保険の契約を見直した
  • 新しいサブスクリプションに加入した
  • 家族構成に変化があった(結婚・離婚・出産など)
  • 医療や介護についての考えが変わった

毎年の誕生日やお正月など、決まった時期に見直す習慣をつけておくと安心です。

家族と相談しながら書く

エンディングノートの内容は、自分だけで決めるよりも、家族と話し合いながら書くのがおすすめです。

たとえば、葬儀の形式やお墓のことは、本人の希望と家族の考えが異なる場合があります。事前に話し合っておくことで、後々のトラブルを防げます。

「終活」や「エンディングノート」と聞くと暗い話題に感じるかもしれません。しかし、家族で将来のことを話し合う良い機会として、前向きに捉えてみてください。

エンディングノートの選び方|市販・無料テンプレート・アプリ

エンディングノートは、さまざまな方法で入手できます。自分に合ったものを選びましょう。

市販のエンディングノートを使う

書店や文房具店で、数百円〜2,000円程度で購入できます。項目があらかじめ印刷されているため、書くべき内容に迷いにくいのがメリットです。

コクヨの「もしもの時に役立つノート」やはせがわの「エンディングノート」など、定番の商品が人気です。実際に手に取って、書きやすいものを選びましょう。

無料テンプレート(PDF・Excel)を活用する

費用をかけずに始めたい場合は、無料でダウンロードできるテンプレートがおすすめです。

Microsoftが提供するWordテンプレートや、自治体が無料配布しているPDF版など、さまざまな種類があります。パソコンで入力できるため、修正や更新もかんたんです。

お住まいの自治体でエンディングノートを配布している場合もありますので、市区町村の窓口や社会福祉協議会に問い合わせてみるとよいでしょう。

スマホアプリで手軽に始める

スマートフォンのアプリでエンディングノートを作成する方法もあります。いつでもどこでも書き込めるため、手軽に始められます。

ただし、アプリの場合はスマートフォンが壊れたり、パスワードが分からなくなったりすると、データにアクセスできなくなるリスクがあります。大切な情報は紙にも写しておくと安心です。

エンディングノートに関するよくある質問

Q. エンディングノートは何歳から書くべき?

A. 何歳からでも書き始められます。一般的には50代〜60代で始める方が多いですが、年齢に制限はありません。病気や事故は年齢に関係なく起こりうるため、思い立ったときが始めどきです。エンディングノートのほかにやるべきことを知りたい方は、終活やることリスト12項目もご確認ください。

Q. 家族に見せたくない部分がある場合は?

A. エンディングノートには、すべてを書く必要はありません。見せたくない内容は別の場所に保管するか、そもそも書かないという選択もできます。たとえば、パスワード類は封筒に入れて封をし、ノートとは別に保管する方法もあります。

Q. エンディングノートに法的効力はある?

A. いいえ、エンディングノートに法的効力はありません。あくまで自分の希望や情報をまとめたメモです。財産の分け方を確実に指定したい場合は、遺言書を作成しましょう。

Q. 書き直してもいい?

A. もちろん書き直して構いません。エンディングノートは何度でも修正・更新できます。気持ちや状況が変わるのは自然なことですので、そのつど書き直しましょう。鉛筆で書いておくと修正がしやすいです。

Q. パソコンやスマホで作成してもよい?

A. はい、パソコンやスマホでも作成できます。ExcelやWord、専用アプリなど、自分に合った方法を選んでください。ただし、データの紛失やパスワード忘れに備えて、重要な部分は紙にも残しておくことをおすすめします。

まとめ

エンディングノートの書き方について、7つの項目を記入例つきで解説しました。

もう一度、書くべき7つの項目を振り返ります。

  1. 自分自身の基本情報 — 氏名、本籍地、マイナンバーなど
  2. 医療・介護の希望 — かかりつけ医、延命治療の希望など
  3. 葬儀・お墓の希望 — 葬儀の形式、遺影写真、納骨先など
  4. 財産・資産の情報 — 預貯金、不動産、ローンなど
  5. 保険・年金の情報 — 生命保険、年金証書の保管場所など
  6. デジタル資産・契約情報 — パスワード、サブスク、SNSなど
  7. 家族へのメッセージ — 感謝の気持ちや伝えたい思い

大切なのは、「書けるところから、少しずつ」始めることです。一度に完成させる必要はありません。

エンディングノートを書くことは、自分の人生を振り返り、これからをより良く過ごすための第一歩です。内閣府の高齢社会白書でも、高齢期の備えとして終活の重要性が指摘されています。ぜひ今日から、書きやすい項目からペンを動かしてみてください。


※ この記事は一般的な情報提供を目的としています。 個別の事情については、専門家(弁護士・税理士・行政書士など)にご相談ください。

最終更新日: 2026年2月18日

参考情報・出典