「墓じまいをしたいけれど、何から始めればいいのかわからない…」

そんな不安を感じていませんか。墓じまいには親族との相談や行政手続き、業者への依頼など、さまざまな手続きが必要です。全体の流れを知らないまま進めると、思わぬトラブルや出費につながることもあります。

この記事では、墓じまいの手続きと流れを7つのステップに分けて解説します。必要書類の一覧や費用の目安、注意点まで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

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墓じまいの手続きと流れ|全体像を把握しよう

まずは墓じまいの基本と、全体の流れを確認しましょう。

墓じまいとは?なぜ今増えているのか

墓じまいとは、今あるお墓の墓石を撤去して更地にし、墓地の使用権を管理者に返還することです。お墓の中の遺骨は新しい供養先に移します。この遺骨の移動を「改葬(かいそう)」といいます。

厚生労働省の衛生行政報告例によると、2023年度の改葬件数は約16万7,000件と過去最多を記録しました。この四半世紀で改葬件数は約2倍に増えています。

墓じまいが増えている主な理由は以下のとおりです。

  • お墓の継承者がいない(子どもがいない、娘しかいない等)
  • お墓が遠方にあり、管理やお参りが負担
  • 子どもや家族に迷惑をかけたくない
  • 少子高齢化・核家族化の進行

墓じまいの全体の流れ【7ステップ一覧表】

墓じまいの手続きは、大きく分けて7つのステップで進みます。

ステップ 内容 期間の目安
STEP1 親族に相談して合意を得る 数日〜数ヶ月
STEP2 墓地管理者に連絡する 1日〜数週間
STEP3 新しい改葬先を決める 数日〜1ヶ月
STEP4 改葬許可証を取得する 1〜3週間
STEP5 閉眼供養(魂抜き)を行う 1日
STEP6 墓石を撤去し墓地を返還する 1日〜数日
STEP7 新しい供養先に納骨する 1日

全体の所要期間は1ヶ月〜1年程度です。親族の合意がスムーズに得られるかどうかで、大きく変わります。

それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。

STEP1:親族に相談して合意を得る

墓じまいで最も大切なのは、親族の合意を得ることです。このステップをおろそかにすると、後々のトラブルにつながります。

相談すべき範囲と伝え方のコツ

相談すべき親族の範囲は、お墓に関わりのあるすべての方です。具体的には以下の方々に声をかけましょう。

  • お墓に入っている方のご子孫
  • お墓参りをしている親族
  • 将来そのお墓に入る予定だった方

伝え方のコツは、「相談」という姿勢で臨むことです。「墓じまいすることにした」と一方的に伝えるのではなく、「お墓の今後について相談したい」と切り出しましょう。

墓じまいを考えた理由(管理の負担、継承者の不在など)を丁寧に説明し、新しい供養先についても一緒に考える姿勢を見せることが大切です。

費用負担のルールを事前に決める

墓じまいには30万〜150万円ほどの費用がかかります。誰がどのように負担するかを事前に話し合いましょう。

一般的には、お墓の継承者(名義人)が中心となって負担しますが、兄弟姉妹で分担するケースも多いです。費用負担のルールを最初に決めておくことで、金銭トラブルを防げます。

STEP2:墓地管理者(寺院・霊園)に連絡する

親族の合意が得られたら、お墓のある墓地の管理者に連絡します。

寺院墓地の場合の注意点(離檀料)

お墓が寺院にある場合、墓じまいは檀家をやめること(離檀)を意味します。

住職には直接会って、丁寧にお伝えするのがマナーです。長年お世話になった感謝の気持ちを伝えた上で、墓じまいの意思を相談しましょう。

その際、「離檀料」が必要になるケースがあります。

項目 内容
離檀料の相場 3万〜20万円程度
性質 感謝の気持ちとしてのお布施。法要1〜3回分が目安
法的義務 なし(あくまでお気持ち)

注意国民生活センターには、高額な離檀料を請求されたという相談が寄せられています。相場を大きく超える金額を提示された場合は、お寺の本山や消費生活センター(消費者ホットライン 188)に相談しましょう。

また、このタイミングで墓地管理者に「埋葬証明書(埋蔵証明書)」の発行を依頼しましょう。改葬許可の申請に必要な書類です。

公営霊園・民営霊園の場合の手続き

公営霊園や民営霊園の場合は、管理事務所に連絡するだけで手続きが進みます。離檀料はかかりません。

管理事務所に墓じまいの意思を伝え、必要な手続き(届出書の提出など)を確認しましょう。埋葬証明書の発行もこちらで依頼します。

STEP3:新しい改葬先(供養先)を決める

遺骨の新しい供養先を決めます。近年はさまざまな選択肢があり、それぞれ費用や特徴が異なります。

改葬先の種類と費用の比較表

改葬先 費用目安(1体あたり) 特徴
永代供養墓(合祀) 5万〜30万円 費用が最も抑えられる。他の方の遺骨と一緒に埋葬
樹木葬 20万〜80万円 自然志向の方に人気。近年最も選ばれている
納骨堂 30万〜100万円 屋内でお参りしやすい。都心部に多い
散骨(海洋散骨) 5万〜50万円 お墓を持たない選択。粉骨が必要(散骨船長で料金を確認
一般墓(新規) 100万〜250万円 従来型のお墓を新しい場所に建てる

2024年の調査では、樹木葬を選ぶ方が全体の約48.7%と最も多く、納骨堂、永代供養墓と続いています。

改葬先を選ぶときの3つのポイント

  1. お参りのしやすさ: 自宅からの距離やアクセスを確認する
  2. 合祀の時期と条件: 一定期間後に合祀される場合、取り出しができなくなる点に注意
  3. 費用の総額: 初期費用だけでなく、年間管理費の有無も確認する

改葬先が決まったら、受入先に「受入証明書」の発行を依頼しましょう。改葬許可の申請に必要な書類です。

STEP4:改葬許可証を取得する(行政手続き)

遺骨を移動するには、法律上「改葬許可証」が必要です。現在のお墓がある市区町村の役所で手続きします。

必要書類の一覧と入手先

書類名 入手先 備考
改葬許可申請書 お墓のある市区町村の役所 窓口またはホームページで入手
埋葬(埋蔵)証明書 現在の墓地管理者 STEP2で取得済み
受入証明書 改葬先の墓地管理者 STEP3で取得済み
改葬承諾書 役所で配布 名義人と申請者が異なる場合のみ
身分証明書 マイナンバーカード、運転免許証等

ポイント改葬許可申請書は、遺骨1体につき1枚必要です。例えば、お墓に5体の遺骨がある場合は5枚提出します。

申請の流れと発行までの期間

  1. 役所で改葬許可申請書を入手する(窓口またはホームページ)
  2. 申請書に必要事項を記入する
  3. 埋葬証明書・受入証明書とあわせて役所に提出する
  4. 書類に不備がなければ、3日〜3週間程度で改葬許可証が交付される

窓口は「環境衛生課」や「市民生活課」が担当していることが多いです。自治体によって名称が異なるため、事前に問い合わせると安心です。

手続きにかかる費用は、数百円〜1,500円程度と少額です。

遠方でお墓のある自治体に行けない場合は、郵送で手続きできるケースもあります。その場合は返信用封筒と切手の同封が必要です。

STEP5:閉眼供養(魂抜き)を行う

墓石を撤去する前に、「閉眼供養(へいがんくよう)」を行います。「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。

閉眼供養の流れとお布施の目安

閉眼供養とは、お墓に宿っているとされる魂を抜く儀式のことです。これにより、墓石はただの石に戻ると考えられています。

僧侶に読経をお願いし、お墓の前で供養を行います。宗派によって作法は異なりますが、所要時間は30分〜1時間程度です。

項目 費用目安
閉眼供養のお布施 3万〜5万円
お車代(僧侶の交通費) 5,000〜1万円

閉眼供養が終わったら、遺骨を取り出します。取り出した遺骨は改葬先に納骨するまで、自宅で一時的に保管することもできます。

STEP6:墓石を撤去し墓地を返還する

遺骨を取り出した後、石材店に依頼して墓石を撤去します。

石材店の選び方と費用の目安

墓石の撤去費用の相場は、1平方メートルあたり10万〜15万円程度です。一般的な大きさのお墓(1〜2平方メートル)であれば、10万〜30万円が目安となります。

条件 費用への影響
墓地の広さ 広いほど高額
墓石の大きさ・量 大きいほど高額
立地条件 重機が入れない場所は割増
墓地指定の石材店 指定がある場合は選択肢が限られる

ポイント石材店は1社で決めず、最低3社から見積もりを取って比較しましょう。費用が大きく異なることがあります。ただし、寺院や霊園によっては指定の石材店がある場合もあるため、事前に確認してください。墓石ナビなら、最大3社の見積もりを無料で一括比較できます。

撤去工事の流れと所要日数

撤去工事の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 墓石の解体
  2. 基礎(カロート)の撤去
  3. 整地・清掃
  4. 墓地管理者への返還手続き

工事自体は1日〜数日で完了します。撤去後は墓地管理者に区画を返還し、墓じまいの手続きは完了です。

STEP7:新しい供養先に納骨する

最後に、取り出した遺骨を新しい供養先に納骨します。

納骨時に必要なものと当日の流れ

納骨の際には、STEP4で取得した「改葬許可証」を改葬先に提出します。これがないと受け入れてもらえませんので、忘れずに持参しましょう。

新しいお墓や納骨堂に納骨する場合は、「開眼供養(かいがんくよう)」を行うことが一般的です。開眼供養のお布施は3万〜10万円が目安とされています。

納骨が完了すれば、墓じまいの一連の手続きはすべて終了です。

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墓じまいにかかる費用の総まとめ

墓じまいにかかる費用の全体像を確認しましょう。

費用の内訳一覧表

項目 費用目安 必須/任意
墓石撤去工事 10万〜30万円 必須
閉眼供養のお布施 3万〜5万円 必須
離檀料 3万〜20万円 寺院墓地の場合
行政手続き 数百円〜1,500円 必須
改葬先の費用 5万〜250万円 必須
開眼供養のお布施 3万〜10万円 改葬先による
合計 約30万〜150万円

費用の幅が大きいのは、改葬先の選択によって金額が大きく変わるためです。

費用を抑える3つの方法

  1. 複数の石材店から見積もりを取る: 撤去費用は業者によって差があるため、3社以上に依頼して比較しましょう
  2. 費用が抑えられる改葬先を選ぶ: 合祀型の永代供養墓や散骨は費用を抑えられます
  3. 自治体の補助金・助成制度を確認する: 一部の自治体では墓石撤去費用の助成があります。お墓のある自治体の窓口に問い合わせてみましょう

墓じまいで失敗しないための注意点

墓じまいでよくあるトラブルと、その対処法を紹介します。

親族間トラブルを防ぐポイント

墓じまいで最も多いトラブルは、親族間の意見の相違です。

  • 墓じまいの前に、関係するすべての親族に相談する
  • 費用負担のルールを明確に決めておく
  • 新しい供養先の決定にも親族の意見を取り入れる

事前の話し合いをしっかり行うことで、多くのトラブルは防げます。

離檀料トラブルへの対処法

寺院から高額な離檀料を請求された場合の対処法は以下のとおりです。

  1. まずは住職と直接話し合う(感謝の気持ちを伝えた上で)
  2. 話し合いで解決しない場合は、お寺の宗派の本山に相談する
  3. それでも解決しない場合は、消費生活センター(消費者ホットライン 188)や弁護士に相談する

離檀料には法的な支払い義務はありません。ただし、感情的にならず、丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。

悪質業者に注意する

墓じまいの代行業者を利用する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 見積もりの内訳が不明瞭な業者は避ける
  • 極端に安い料金を提示する業者には注意する
  • 契約前に追加料金の有無を確認する
  • 口コミや実績を確認する

墓じまいの手続きに関するよくある質問

Q. 墓じまいの手続きは自分でできますか?

A. はい、すべての手続きを自分で行うことは可能です。ただし、墓石の撤去は石材店への依頼が必要です。行政手続きが不安な方は、行政書士に代行を依頼することもできます。費用は4万〜8万円程度が相場です。

Q. 墓じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 全体で1ヶ月〜1年程度です。親族の合意がスムーズに得られれば1〜2ヶ月で完了するケースもあります。改葬許可証の発行には1〜3週間程度かかります。

Q. 遺骨が誰のものかわからない場合はどうすればよいですか?

A. 墓地管理者に「過去帳」や「埋葬記録」を確認してもらいましょう。それでも特定できない場合は、役所に相談してください。

Q. 墓じまいの費用は誰が負担しますか?

A. 一般的にはお墓の継承者(名義人)が負担するケースが多いです。ただし、兄弟姉妹で話し合い、費用を分担することも珍しくありません。事前にルールを決めておくことが重要です。

Q. お墓が遠方にあり、直接行けない場合はどうすればよいですか?

A. 改葬許可の申請は郵送で対応してくれる自治体もあります。閉眼供養や撤去工事の立ち会いが難しい場合は、代行業者に依頼することも可能です。

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まとめ

墓じまいの手続きと流れを7つのステップで解説しました。

  1. 親族に相談して合意を得る — トラブル防止のために最も重要
  2. 墓地管理者に連絡する — 離檀料や必要書類を確認
  3. 新しい改葬先を決める — 樹木葬・納骨堂・永代供養墓などから選択
  4. 改葬許可証を取得する — 遺骨1体につき1枚申請
  5. 閉眼供養を行う — お布施は3万〜5万円が目安
  6. 墓石を撤去し墓地を返還する — 複数の石材店から見積もりを取る
  7. 新しい供養先に納骨する — 改葬許可証の提出を忘れずに

費用の総額は30万〜150万円が目安です。改葬先の選択によって大きく変わります。

手続きの流れを事前に把握しておけば、安心して進められます。一度にすべてを終わらせる必要はありませんので、まずは親族への相談から始めてみてはいかがでしょうか。


※ この記事は2026年2月時点の一般的な情報をもとに作成しています。法律・制度・費用は地域や時期によって異なる場合があります。個別の事情については、専門家(弁護士・行政書士・石材店など)にご相談ください。

最終更新日: 2026年2月18日