【この記事の結論】 一軒家の処分方法は5つあり、放置すると「特定空家等」指定で固定資産税が最大6倍になるリスクがあります。

  • 中古住宅として売却が最も一般的 — 仲介手数料は売却価格の3%+6万円。築20年以内なら有利
  • 解体して更地で売却 — 解体費は木造30坪で90〜150万円。土地の需要が高いエリアで有効
  • 空き家バンク・買取も選択肢 — 自治体の空き家バンク登録(無料)や不動産会社の買取依頼で早期処分が可能
  • 家財道具の処分費用は17〜60万円 — 間取りや物量で変動。自分で処分すれば大幅に節約可能

この記事の対象読者: 相続した実家の処分に困っている方、空き家の維持費が負担になっている方

読んだら今日やること: まず不動産会社2〜3社に無料査定を依頼し、家の現在の価値を把握しましょう

一軒家の処分が必要になるケース

「一軒家を処分しなければならない」という状況は、多くの方にとって初めての経験です。主に次のようなケースで発生します。

  • 親の家を相続したが、自分はすでに別の住まいがある
  • 転勤や引越しで住まなくなった
  • 親が施設に入居し、実家が空き家になった
  • 老朽化が進み、住み続けるのが難しくなった
  • 終活の一環として、住まいの整理を進めたい

いずれの場合も、「何もしない」という選択が最もリスクが高いです。この記事では、一軒家の処分方法5つと費用相場をわかりやすく解説します。

相続した不動産の名義変更については「土地・不動産の相続手続きと名義変更の方法」をご覧ください。


【比較表】一軒家の処分方法5つ

方法 費用の目安 期間の目安 おすすめのケース
①そのまま売却 仲介手数料(3%+6万円) 3〜12か月 築浅・立地がよい物件
②解体して更地売却 解体費90〜240万円+仲介手数料 4〜14か月 築古・建物に価値がない
③無償譲渡 ほぼ0円(登記費用のみ) 1〜3か月 買い手がつかない物件
④空き家バンク 登録無料 数か月〜数年 地方の物件
⑤不動産会社の買取 0円(手数料なし) 1〜4週間 とにかく早く処分したい

① そのまま売却する(仲介売却)

最もスタンダードな方法です。不動産会社に仲介を依頼して、中古住宅として売りに出します。

費用の内訳

項目 費用の目安
仲介手数料 売却価格 × 3% + 6万円(+消費税)
印紙税 1,000〜10,000円
登記費用(抵当権抹消等) 1〜3万円
ハウスクリーニング 3〜10万円(任意)

: 1,500万円で売却した場合の仲介手数料は 56.1万円(税込)

メリット

  • 売却代金が手に入る
  • 建物付きのまま売れるため解体費がかからない

デメリット

  • 売れるまでに時間がかかる(平均6〜12か月)
  • 築年数が古いと買い手がつきにくい
  • 売却期間中も固定資産税がかかる

向いているケース

  • 築30年以内で、建物の状態がよい
  • 駅やスーパーの近くなど、立地条件がよい
  • 時間的な余裕がある

② 解体して更地にして売却する

建物が古く、中古住宅としての価値がほぼない場合は、建物を解体して更地にしてから売却する方法があります。

解体費用の相場

構造 坪単価 30坪の場合 40坪の場合
木造 3〜5万円/坪 90〜150万円 120〜200万円
鉄骨造 5〜7万円/坪 150〜210万円 200〜280万円
RC造(鉄筋コンクリート) 6〜8万円/坪 180〜240万円 240〜320万円

※ 上記に加え、付帯工事費(庭木の撤去、ブロック塀の撤去など)が別途かかることがあります。

解体費用に影響する要因

  • 立地: 重機が入れない狭い場所は手作業が増え、割高になる
  • アスベスト: 古い建物にはアスベスト(石綿)が使われている場合があり、除去費用が追加
  • 地中埋設物: 浄化槽や古い基礎が埋まっていると追加費用が発生
  • 残置物: 家財が残っていると処分費が上乗せされる

メリット

  • 更地は買い手がつきやすい
  • 新築用の土地として需要がある

デメリット

  • 解体費用がかかる
  • 更地にすると固定資産税の軽減措置がなくなる(住宅用地特例の解除)

注意: 住宅が建っている土地は固定資産税が最大6分の1に軽減されていますが、更地にするとこの特例がなくなります。売却までの期間が長引くと、固定資産税の負担が増えるため注意が必要です。


③ 無償譲渡する

売却が難しい場合は、無償(タダ)で譲渡するという選択肢もあります。

譲渡先の候補

  • 隣の土地の所有者(土地を広げたい人)
  • 地域のNPO法人
  • 空き家を探している個人(移住希望者など)
  • 自治体(公共用途での活用)

費用

  • 登記費用(所有権移転登記): 数万円程度
  • 測量費用: 必要な場合は20〜40万円

メリット

  • 維持費や固定資産税の負担がなくなる
  • 解体費用がかからない

デメリット

  • 売却代金は得られない
  • 譲渡先を見つける手間がかかる
  • 受け取る側に贈与税がかかる場合がある

④ 空き家バンクに登録する

空き家バンクとは、自治体が運営する空き家の情報サイトです。空き家の所有者と、空き家を探している人をマッチングします。

特徴

メリット

  • 費用がかからない
  • 自治体の補助金が活用できる場合がある(解体費用や改修費用の補助)
  • 地域への貢献になる

デメリット

  • 成約までに時間がかかることが多い
  • 地方の物件が中心で、都市部の物件は少ない

⑤ 不動産会社に買取を依頼する

不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。仲介売却とは異なり、不動産会社が買い手になります。

費用

  • 仲介手数料: かからない(不動産会社が直接買い取るため)
  • 登記費用: 1〜3万円

メリット

  • 最短1〜4週間で処分できる
  • 仲介手数料がかからない
  • 残置物があっても対応してくれる会社がある

デメリット

  • 買取価格は市場価格の6〜8割程度(仲介売却より安くなる)
  • すべての物件を買い取ってもらえるわけではない

向いているケース

  • すぐにお金が必要、またはすぐに手放したい
  • 相続税の納付期限が迫っている
  • 遠方の物件で管理が難しい

家財道具・残置物の処分費用

一軒家の処分では、建物・土地だけでなく「中の荷物の処分費用」も大きな出費になります。間取りごとの費用相場を確認しましょう。

間取り別の家財処分費用

間取り 費用相場 作業人数 作業時間
1R〜1K 3万〜8万円 1〜2名 1〜3時間
1DK〜1LDK 5万〜15万円 2〜3名 2〜4時間
2DK〜2LDK 12万〜30万円 3〜5名 3〜6時間
3DK〜3LDK 17万〜50万円 4〜7名 5〜8時間
4LDK以上 22万〜60万円以上 5〜8名 6〜10時間

※ 物量や地域、業者によって金額は前後します。ゴミ屋敷状態の場合は50万〜200万円以上かかることもあります。

自分で処分すれば費用を大幅に削減できる

家財道具の処分費用を抑える最も効果的な方法は、可能な範囲で自分で処分することです。

処分方法 費用の目安 適している物
自治体の粗大ごみ回収 1点200〜2,000円 家具・家電(冷蔵庫・洗濯機等は除く)
リサイクルショップの買取 0円(買取で収入に) 状態の良い家具・家電・ブランド品
フリマアプリ(メルカリ等) 送料のみ 衣類・書籍・小型家電
家電リサイクル 1,000〜5,000円/台 冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン
不用品回収業者 軽トラ1台8,000〜15,000円 まとめて処分したい場合

遺品整理の費用相場や業者選びについてくわしくは「遺品整理の費用相場」や「遺品整理業者おすすめ比較」もご覧ください。

【総費用比較表】処分方法ごとのトータルコスト

処分方法によって、かかる総費用は大きく異なります。以下の表で、30坪・木造一軒家(土地評価額1,000万円)を想定した場合のトータルコストを比較します。

処分方法 主な費用 収入の目安 実質コスト
中古住宅として売却 仲介手数料40〜60万円 + 家財処分20〜50万円 売却代金500〜1,500万円 収入あり
解体後に更地で売却 解体90〜150万円 + 仲介手数料 + 家財処分 売却代金800〜1,500万円 収入あり(解体費控除後)
不動産会社の買取 家財処分20〜50万円のみ 市場価格の60〜80% 収入あり(割安)
空き家バンク 家財処分・修繕費(任意) 0〜数百万円 安価で処分可能
無償譲渡 登記費用2〜5万円 + 家財処分 0円 25〜55万円
放置(非推奨) 固定資産税5〜30万円/年 + 管理費 0円 毎年コストが発生

ポイント
放置が最もコストが高くなります。固定資産税だけでも年間5〜30万円、10年で50〜300万円の出費です。
早めに処分方針を決めることが、トータルコストを抑える最大のポイントです。

空き家を放置するリスク

「まだ決められない」「忙しくて手が回らない」と放置してしまうケースが少なくありません。しかし、空き家の放置には大きなリスクがあります。

固定資産税が最大6倍に

住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が最大6分の1に軽減されています。しかし、空家等対策特別措置法に基づき「特定空家等」に指定されると、この特例が解除されます。

: 固定資産税が年間5万円の場合 → 特例解除後は最大30万円

2023年の法改正では、「特定空家」の前段階として「管理不全空家」のカテゴリが追加されました。適切な管理がされていないと判断されれば、特定空家になる前の段階でも特例が解除される可能性があります。

その他のリスク

リスク 内容
倒壊・崩壊 老朽化により屋根や壁が崩れ、近隣に被害を及ぼす
不審者の侵入 空き家が犯罪の温床になる
害虫・害獣 シロアリ、ネズミ、ハクビシン等の被害
近隣トラブル 雑草・悪臭・景観悪化によるクレーム
損害賠償 倒壊等で他人に被害を与えた場合、所有者が責任を負う

一軒家を処分する流れ(5ステップ)

ステップ1: 名義を確認する

処分する前に、不動産の名義(所有者)を確認します。相続した場合は、相続登記が済んでいるかチェックしましょう。2024年4月1日から相続登記が義務化されています。

相続手続きの全体像は「相続手続きを自分でやる方法|完全ガイド」もご覧ください。

ステップ2: 建物と土地の状態を把握する

  • 建物の築年数と構造を確認
  • 境界線を確認(隣地との境界が不明な場合は測量が必要)
  • 固定資産税の納税通知書で評価額を確認

ステップ3: 残置物を整理する

家の中に残っている家財道具や生活用品を整理・処分します。残置物がある状態では売却が難しいため、先に片付けましょう。

遺品整理を自分で行う方法は「遺品整理を自分でやるコツと手順」をご覧ください。

業者に依頼する場合は「遺品整理業者おすすめ比較」も参考にしてください。

ステップ4: 処分方法を選ぶ

前述の5つの方法から、自分の状況に合った方法を選びます。迷ったら、まずは複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

ステップ5: 手続きを進める

選んだ方法に応じて、不動産会社との契約、解体業者の手配、登記手続きなどを進めます。


処分費用を抑える3つのコツ

1. 解体費用は複数社で見積もりを取る

解体費用は業者によって大きく異なります。最低3社から見積もりを取り、価格と内容を比較しましょう。

2. 自治体の補助金を活用する

多くの自治体では、空き家の解体や改修に対する補助金制度を設けています。金額は自治体によって異なりますが、解体費用の3分の1〜2分の1(上限50〜100万円程度)を補助してくれるケースがあります。

補助金の種類 補助額の目安 主な条件
空き家解体補助金 解体費の1/3〜1/2(上限50〜100万円) 1年以上の空き家、耐震基準未満など
空き家改修補助金 改修費の1/3〜1/2(上限50〜200万円) 空き家バンク登録物件など
危険空家除却補助金 解体費の最大2/3(上限100〜200万円) 倒壊の危険がある空き家

注意: 補助金は解体工事の着工前に申請が必要です。先に工事を始めてしまうと申請できなくなる場合が多いため、必ず事前に自治体の窓口に相談しましょう。また、予算に限りがあるため早めの申請が有利です。「○○市 空き家 補助金」で検索すると、お住まいの地域の制度を確認できます。

3. 残置物は自分で処分する

解体業者に家財の処分も依頼すると割高になります。可能な範囲で自分で処分するか、遺品整理業者に別途依頼した方が安くなることが多いです。

身辺整理の進め方は「身辺整理のやり方|6つのカテゴリ別に手順を解説」もご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 相続した一軒家は、相続してからどのくらいで処分すべきですか?

早めの対応がおすすめです。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科される場合があります。また、空き家のまま放置すると固定資産税の負担や管理コストが毎年かかります。相続後1年以内を目安に方針を決めるのが理想です。

Q. 築50年以上の古い一軒家でも売れますか?

立地によっては売れることがあります。建物自体の価値はほぼゼロでも、「土地の価値」で取引されるケースが多いです。古い建物付きの土地として売る方法や、解体して更地にしてから売る方法があります。まずは不動産会社に査定を依頼してみましょう。

Q. 解体費用を払えない場合はどうすればいいですか?

いくつかの対策があります。まず自治体の補助金制度を確認しましょう。解体費用の一部を補助してくれる自治体が増えています。次に、解体費用を含めた価格で土地を売却する「解体前提の売却」も検討できます。また、金融機関の空き家解体ローンを利用する方法もあります。

Q. 空き家の管理だけを依頼することはできますか?

はい、空き家管理サービスを提供している会社があります。月額5,000〜15,000円程度で、定期的な巡回・換気・草刈り・郵便物の確認などを代行してくれます。すぐに処分できない場合の一時的な対策として有効です。

Q. 一軒家の処分にかかる税金はどうなりますか?

売却して利益が出た場合は「譲渡所得税」がかかります。ただし、相続した空き家を売却する場合は「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」が使える場合があります。この特例を使えば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。適用条件や手続きの詳細は「空き家の処分方法と税金対策」で解説しています。なお、売却時の税率は所有期間5年超(長期譲渡)で約20.315%、5年以下(短期譲渡)で約39.63%です。


この記事は一般的な情報提供を目的としています。不動産の処分に関する具体的なご相談は、不動産会社や税理士等の専門家にお問い合わせください。

最終更新日: 2026年2月23日

参考情報・出典