【この記事の結論】 改葬(お墓の引っ越し)は5ステップで完了し、必要書類は主に3種類、費用総額は35〜150万円が目安です。

  • 改葬許可申請書 — 市区町村役場で入手し遺骨1体につき1通提出
  • 埋蔵証明書 — 現在の墓地管理者に発行依頼(300〜1,500円)
  • 受入証明書 — 改葬先の管理者から無料で取得

この記事の対象読者: お墓の引っ越しを検討中の方/改葬手続きの流れを知りたい方/必要書類を把握したい方

読んだら今日やること: 改葬先の候補をリストアップし、受入証明書の発行を依頼しましょう。

「お墓を別の場所に移したいけど、どんな手続きが必要なの?」 「改葬にはどんな書類を準備すればいいの?」

このようにお悩みの方は多いのではないでしょうか。

改葬(お墓の引っ越し)は法律にもとづく手続きが必要です。必要な書類や手順を知らないまま進めると、二度手間になったり、思わぬトラブルに発展したりすることもあります。

この記事では、改葬の手続きに必要な書類の一覧から、改葬許可証を取得するまでの流れを5つのステップで分かりやすく解説します。改葬許可申請書の書き方や費用の目安、よくあるトラブルへの対処法まで網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。


改葬とは?まず知っておきたい基本知識

改葬とは、現在のお墓や納骨堂に納められているご遺骨を、別のお墓や納骨堂に移すことです。「お墓の引っ越し」と考えると分かりやすいでしょう。

改葬先の一つとして海洋散骨を選ぶ方が増えています。改葬許可証の取得と合わせて検討しましょう。

改葬は「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の第5条にもとづく手続きです。市町村長の許可を受けずに改葬を行うと法律違反となり、罰則の対象になります。

参考: 墓地、埋葬等に関する法律の条文は厚生労働省のホームページで確認できます。

改葬に該当するケース・しないケース

改葬に該当するかどうかで、必要な手続きが変わります。以下の表で確認しておきましょう。

ケース 改葬に該当するか
お墓の遺骨を別の墓地に移す 該当する(許可が必要)
納骨堂の遺骨を別の納骨堂に移す 該当する(許可が必要)
火葬後にはじめて納骨する 該当しない
遺骨の一部を分骨する 該当しない(分骨証明書が必要)
遺骨を自宅に引き取る 該当しない(自治体による)
散骨する 該当しない

ポイント 改葬に該当する場合は、必ず「改葬許可証」を取得する必要があります。許可証なしで遺骨を移すことはできません。


改葬に必要な書類一覧

改葬の手続きでは、主に3つの書類を揃える必要があります。状況によっては、追加で書類が必要になるケースもあります。

必ず必要な3つの書類

書類名 入手先 費用の目安
改葬許可申請書 現在の墓地がある市区町村の役場 無料
埋蔵証明書(埋葬証明書) 現在の墓地の管理者 300〜1,500円程度
受入証明書 改葬先(新しいお墓)の管理者 基本的に無料

状況によって追加で必要な書類

書類名 必要なケース 入手先
改葬承諾書 申請者と墓地使用者が異なる場合 墓地使用者に作成を依頼
委任状 代理人が申請する場合 申請者本人が作成
戸籍謄本 死亡者との関係を証明する場合 本籍地の市区町村役場

それぞれの書類について、くわしく見ていきましょう。

改葬許可申請書とは

改葬許可申請書は、市区町村に「遺骨の引っ越しを認めてほしい」と届け出るための書類です。

現在のお墓がある市区町村の役場で入手できます。自治体によっては、ホームページからダウンロードすることも可能です。

注意 改葬許可申請書は、遺骨1体につき1通の提出が必要です。たとえば1つのお墓に3体の遺骨がある場合は、3通の申請書を用意してください。書き損じに備えて、少し多めに入手しておくと安心です。

埋蔵証明書(埋葬証明書)とは

埋蔵証明書は、「このお墓に遺骨が確かに納められていますよ」と、現在の墓地管理者が証明する書類です。

寺院墓地であれば住職に、公営墓地であれば墓地の管理事務所に依頼して発行してもらいます。発行には300〜1,500円ほどの手数料がかかるのが一般的です。

自治体によっては、改葬許可申請書の下部に「現管理者の証明欄」が設けられていて、そこに墓地管理者の記名・押印をもらう形式の場合もあります。

受入証明書とは

受入証明書は、「遺骨を受け入れますよ」と、改葬先の墓地や納骨堂の管理者が発行する書類です。「改葬受入証明書」と呼ばれることもあります。

改葬先の墓地や納骨堂を契約する際に、管理者に依頼すれば発行してもらえます。基本的に発行手数料はかかりません。


改葬の手続き5ステップ|流れをくわしく解説

ここからは、改葬許可証を取得して遺骨を移すまでの手続きを、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1: 改葬先(新しいお墓・納骨堂)を決める

まずは、遺骨の新しい受け入れ先を決めます。改葬先を決めないと受入証明書が取得できないため、手続きを進められません。

改葬先の選択肢には、以下のようなものがあります。

改葬先の種類 費用の目安 特徴
一般墓(新しいお墓) 100〜300万円 従来型のお墓。管理の手間がある
樹木葬 5〜80万円 自然に還る埋葬方法。管理不要
納骨堂 10〜150万円 屋内型。天候を気にせずお参りできる
永代供養墓 5〜30万円 寺院が永代にわたり供養。管理不要
合祀墓 3〜10万円 他の方と一緒に埋葬。費用を抑えられる

改葬先を決めたら、管理者に受入証明書の発行を依頼しましょう。

ステップ2: 現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得する

次に、現在の墓地管理者に連絡して埋蔵証明書を発行してもらいます。

寺院墓地の場合は、この段階で住職に「改葬を考えている」ことを伝えることになります。長年お世話になったお寺ですので、丁寧にご挨拶するのがマナーです。

注意 まれに、墓地管理者が埋蔵証明書の発行を拒否するケースがあります。そのような場合でも、市区町村長が認める書類(戸籍謄本など)で代用できると法律で定められています。詳しくは後述の「トラブルと対処法」をご覧ください。

ステップ3: 改葬許可申請書を入手して記入する

現在のお墓がある市区町村の役場から改葬許可申請書を入手します。窓口での受け取りのほか、自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。改葬許可の手続きについては厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」でも確認できます。

改葬許可申請書の記入項目

改葬許可申請書には、以下の項目を記入します。

記入項目 記入内容 補足
死亡者の本籍・住所 死亡時の本籍地・住所 不明な場合は「不詳」と記入
死亡者の氏名 フルネーム
死亡者の性別 男・女を選択
死亡年月日 年月日を記入 不明な場合は「不詳」と記入
埋葬(火葬)場所 現在の墓地名・所在地
埋葬(火葬)年月日 納骨した年月日 不明な場合は「不詳」と記入
改葬の理由 引っ越しのため、管理が困難など 簡潔に記入
改葬場所 新しいお墓・納骨堂の所在地
申請者の住所・氏名 墓地使用者の情報 押印が必要

ポイント 死亡者の本籍地や死亡年月日が分からない場合は、「不詳」と記入すれば問題ありません。古いお墓の場合はとくに不明な情報が多いため、分かる範囲で記入すれば大丈夫です。

ステップ4: 必要書類を役場に提出し、改葬許可証を取得する

以下の書類が揃ったら、現在のお墓がある市区町村の役場に提出します。

提出書類チェックリスト:

  • [ ] 改葬許可申請書(遺骨の数だけ)
  • [ ] 埋蔵証明書
  • [ ] 受入証明書
  • [ ] 改葬承諾書(申請者と墓地使用者が異なる場合)
  • [ ] 委任状(代理人が申請する場合)
  • [ ] 戸籍謄本(求められた場合)
  • [ ] 申請者の身分証明書

書類に不備がなければ、改葬許可証が交付されます。交付までの期間は自治体によって異なりますが、即日〜数日程度が一般的です。郵送で受け取れる自治体もあります。

ポイント 改葬許可証には有効期限がありません。ただし、改葬先の墓地や納骨堂の使用契約に期限がある場合もありますので、取得後はなるべく早めに手続きを進めましょう。

ステップ5: 遺骨を取り出して改葬先に納骨する

改葬許可証を取得したら、いよいよ遺骨の移転です。

遺骨の取り出し(現在のお墓):

  1. 閉眼供養(魂抜き)を行う — お布施の相場は約3〜10万円
  2. 現在の墓地管理者に改葬許可証を提示する
  3. 石材店に依頼して遺骨を取り出す

納骨(改葬先):

  1. 改葬先の墓地管理者に改葬許可証を提出する
  2. 開眼供養(魂入れ)を行う
  3. 遺骨を納める

遺骨を取り出したあとは、墓石の撤去・墓地の整地が必要になります。これがいわゆる「墓じまい」の工程です。墓じまいの具体的な手順については墓じまいの手続きと流れで詳しく解説しています。


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改葬にかかる費用の目安

改葬にかかる費用は、お墓の状況や改葬先の種類によって大きく異なります。ここでは、一般的な費用の目安をまとめました。

費用項目 金額の目安 備考
埋蔵証明書の発行 300〜1,500円 墓地管理者に支払う
改葬許可申請の手数料 無料〜数百円 自治体による
閉眼供養のお布施 3〜10万円 僧侶へのお礼。お寺との関係性で変動
墓石の撤去・整地 1平米あたり約10〜20万円 総額30〜50万円が相場。業者により差あり
離檀料(寺院墓地の場合) 3〜20万円 任意。お寺による
改葬先の費用 3〜300万円 種類によって大幅に異なる
開眼供養のお布施 3〜10万円 僧侶へのお礼。お寺との関係性で変動

改葬にかかる費用の総額は、35〜150万円が目安とされています。

ポイント 墓石の撤去費用は、石材店によって金額が大きく異なります。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。

墓じまいの費用相場を少しでも抑えたい方は、一括見積もりサービスを活用するのがおすすめです。複数の業者の見積もりをまとめて比較できるため、適正価格で依頼できます。


改葬手続きでよくあるトラブルと対処法

改葬の手続きでは、思わぬトラブルが起きることもあります。よくあるケースと、その対処法をご紹介します。

トラブル1: 高額な離檀料を請求された

寺院墓地の場合、檀家をやめる際に「離檀料」を請求されることがあります。

離檀料の相場は3〜20万円ですが、なかには数十万円〜100万円以上を請求されるケースも報告されています。

対処法:

離檀料は法律上の支払い義務はなく、あくまでお寺への感謝の気持ちとして任意で支払うものです。高額な請求を受けた場合は、以下の順番で対応しましょう。

  1. お寺と直接、冷静に話し合う
  2. 宗派の本山に相談する(本山から指導が入ることが多い)
  3. 改葬の手続きに詳しい行政書士に相談する
  4. それでも解決しない場合は弁護士に相談する

トラブル2: 埋蔵証明書を発行してもらえない

住職が改葬に同意せず、埋蔵証明書の発行を拒否するケースがまれにあります。

対処法:

墓地管理者から埋蔵証明書を取得できない場合でも、法律上は改葬が可能です。市区町村長が認める書類(戸籍謄本など)を代わりに提出することで、改葬許可を受けられると定められています。

まずは市区町村の窓口に相談しましょう。

トラブル3: 親族が改葬に同意してくれない

お墓は家族にとって大切なものです。改葬について親族間で意見が分かれることは珍しくありません。

対処法:

改葬には、墓地使用者の同意が必要です。使用者以外の親族の同意は法律上は不要ですが、後々のトラブルを避けるために、事前に家族・親族に丁寧に相談しておくことが大切です。

改葬を考えるに至った理由(管理が難しい、遠方で通えないなど)を率直に説明し、理解を得るようにしましょう。

トラブル4: 墓石の撤去費用が高すぎる

墓石の撤去を1社だけに依頼すると、相場より高い金額を提示されることがあります。

対処法:

墓石の撤去費用は石材店によって大きく異なります。最低でも3社以上から見積もりを取り、金額を比較してから依頼することをおすすめします。


改葬の手続きをスムーズに進めるためのチェックリスト

最後に、改葬の手続きを進めるうえで役立つチェックリストをまとめました。

手続き前の準備:

  • [ ] 改葬先(新しいお墓・納骨堂)を決める
  • [ ] 家族・親族に改葬の意思を伝え、同意を得る
  • [ ] 現在の墓地管理者に改葬の意思を伝える
  • [ ] 必要な費用を概算で把握する

書類の準備:

  • [ ] 改葬先から受入証明書を取得する
  • [ ] 現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得する
  • [ ] 市区町村役場から改葬許可申請書を入手する
  • [ ] 改葬許可申請書に記入する(遺骨の数だけ)
  • [ ] (必要に応じて)改葬承諾書・委任状を用意する

申請・実行:

  • [ ] 市区町村役場に書類を提出する
  • [ ] 改葬許可証を受け取る
  • [ ] 閉眼供養を手配する
  • [ ] 遺骨を取り出す
  • [ ] 改葬先に遺骨を納める
  • [ ] 墓石の撤去・墓地の整地を依頼する

よくある質問

Q. 改葬許可証に有効期限はありますか?

A. 改葬許可証に有効期限はありません。ただし、改葬先の墓地や納骨堂の使用契約に期限がある場合もありますので、なるべく早めに手続きを進めることをおすすめします。

Q. 改葬の手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 書類の準備から改葬許可証の取得まで、一般的には1〜3か月程度です。墓石の撤去や改葬先での納骨まで含めると、全体で2〜6か月ほどかかるケースが多いです。

Q. 改葬の手続きは自分でできますか?それとも専門家に頼むべきですか?

A. 改葬の手続きは、基本的にご自身で進めることができます。ただし、書類の準備や墓地管理者との交渉に不安がある方は、行政書士に代行を依頼することも可能です。費用は5〜7万円程度が相場です。

Q. 遺骨が何体あるか分からない場合はどうすればいいですか?

A. 現在の墓地管理者に確認しましょう。墓地の記録や過去の納骨記録から、遺骨の数を把握できることがほとんどです。遺骨の数に応じた改葬許可申請書の枚数を用意する必要があります。

Q. 改葬先がまだ決まっていなくても手続きを始められますか?

A. 改葬先が決まっていないと、受入証明書を取得できないため、改葬許可の申請ができません。まずは改葬先を決めるところから始めましょう。


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まとめ

改葬(お墓の引っ越し)の手続きで必要な書類と流れを振り返りましょう。

必要な書類は主に3つ: 1. 改葬許可申請書(市区町村役場で入手) 2. 埋蔵証明書(現在の墓地管理者に発行を依頼) 3. 受入証明書(改葬先の管理者に発行を依頼)

手続きは5つのステップ: 1. 改葬先を決めて受入証明書を取得 2. 現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得 3. 改葬許可申請書を入手・記入 4. 役場に提出して改葬許可証を取得 5. 遺骨の取り出しと改葬先への納骨

改葬は人生のなかで何度も経験するものではないため、不安に感じるのは当然のことです。この記事で紹介した手順に沿って一つずつ進めていけば、スムーズに手続きを完了できます。改葬も含め、終活全体で準備すべきことを把握したい方は終活やることリスト12項目もあわせてご覧ください。

費用面で不安がある方は、まずは複数の業者から見積もりを取ることから始めてみてください。一括見積もりサービスを利用すれば、手間をかけずに適正価格を把握できます。


※ この記事は一般的な情報提供を目的としています。 個別の事情については、専門家(弁護士・税理士・行政書士など)にご相談ください。

※ 改葬に関する法律の詳細は、厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」をご参照ください。

最終更新日: 2026年2月19日

参考情報・出典