【この記事の結論】 死亡後の住民税は「1月1日に生存していたか」で決まり、翌年度は課税されません。未納分は相続人が納付します。
- 課税基準日 — 毎年1月1日に生存していれば、その年度の住民税が課税される
- 翌年度の扱い — 死亡した翌年の1月1日には存在しないため、翌年度は課税なし
- 相続人の義務 — 未納の住民税は相続人が承継して納付する(相続放棄すれば免除)
この記事の対象読者: 家族が亡くなり住民税の通知が届いた方、相続手続き中の方、死後の税金を事前に知りたい方
読んだら今日やること: お住まいの市区町村に「相続人代表者指定届」の提出が必要か確認しましょう
家族が亡くなった後に届く住民税の通知書。「亡くなった人の税金なのに、なぜ払わないといけないの?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論から言うと、死亡した年度の住民税は相続人に納付義務があります。ただし、翌年度以降は課税されません。
この記事では、死亡後の住民税がいつまで発生するのか、誰が払うのか、必要な手続きは何かをわかりやすく解説します。
住民税の基本|課税基準日は「1月1日」
住民税の仕組みを理解するうえで、最も重要なポイントが課税基準日です。
住民税が課税される条件
住民税は、その年の1月1日時点で住所がある市区町村から課税されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税基準日 | 毎年1月1日 |
| 対象期間 | 前年1月1日〜12月31日の所得 |
| 納付時期 | 6月〜翌年5月 |
| 納付方法 | 普通徴収(納付書)または特別徴収(給与天引き) |
つまり、2026年度の住民税は「2025年の所得」にもとづいて計算され、「2026年1月1日に住所がある自治体」から課税されます。
なぜ死亡後も住民税がかかるのか
住民税は前年の所得に対して翌年課税される「後払い」の仕組みです。そのため、亡くなった時点で未納の住民税が残っている場合、それは故人の「債務」として扱われます。
死亡時期別|住民税はいつまで課税される?
死亡した時期によって、住民税の扱いが変わります。以下の表で確認してください。
死亡時期と課税の関係
| 死亡時期 | その年度の住民税 | 翌年度の住民税 |
|---|---|---|
| 1月1日より前に死亡(前年中) | 未納分あれば納付義務あり | 課税されない |
| 1月1日に死亡 | 未納分あれば納付義務あり | 課税される |
| 1月2日〜12月31日に死亡 | 未納分あれば納付義務あり | 課税されない |
ポイント: 1月1日時点で生存していれば、その年度の住民税は課税されます。逆に、1月1日より前に亡くなった場合は、翌年度の住民税はかかりません。
具体例で理解する
ケース1: 2026年3月15日に死亡
- 2025年度住民税(2025年6月〜2026年5月): 未納分があれば相続人が納付
- 2026年度住民税(2026年6月〜2027年5月): 課税される(2026年1月1日に生存していたため)
- 2027年度住民税: 課税されない(2027年1月1日に生存していないため)
ケース2: 2025年11月20日に死亡
- 2025年度住民税(2025年6月〜2026年5月): 未納分があれば相続人が納付
- 2026年度住民税: 課税されない(2026年1月1日に生存していないため)
死亡後の住民税は誰が払う?
相続人が納税義務を承継する
地方税法第9条の規定により、相続人は被相続人(故人)の納税義務を承継します。
具体的には以下のとおりです。
| 状況 | 納税義務者 |
|---|---|
| 相続人が1人 | その相続人 |
| 相続人が複数 | 法定相続分に応じて按分(実務上は代表者が一括納付) |
| 相続放棄した相続人 | 納税義務なし |
| 全員が相続放棄 | 納税義務者なし(納付不要) |
相続人代表者指定届とは
相続人が複数いる場合は、相続人代表者指定届を市区町村の税務課に提出します。この届出により、代表者宛に納税通知書が届きます。
届出に必要なものは自治体によって異なりますが、一般的には以下が求められます。
- 相続人代表者指定届(自治体の様式)
- 届出者の本人確認書類
- 被相続人との関係がわかる書類(戸籍謄本等)
届出をしないと、自治体が任意に通知書の送付先を決める場合があります。
相続放棄すれば住民税も免除される
相続放棄をした場合、故人の住民税の納付義務も承継しません。ただし、相続放棄は住民税だけでなくすべての財産と債務を放棄することになる点に注意してください。
相続放棄の手続きは、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。具体的な手順は「相続放棄の手続きガイド|期限3ヶ月以内にやるべき6つのステップ」で解説しています。
特別徴収(給与天引き)の場合はどうなる?
故人が会社員で、住民税が給与から天引きされていた場合の扱いを解説します。
退職(死亡)による特別徴収の停止
| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 6月〜12月に死亡 | 残りの住民税は普通徴収に切り替え。納付書が届く |
| 1月〜5月に死亡 | 最後の給与・退職金から一括徴収される場合あり |
勤務先が市区町村に「異動届」を提出することで、特別徴収から普通徴収に切り替わります。
最後の給与からの一括徴収
1月〜5月に死亡した場合、勤務先が最後の給与や退職金から残りの住民税を一括で天引きすることがあります。この場合、相続人に別途納付書は届きません。
住民税と所得税(準確定申告)の違い
死亡後に関係する税金は住民税だけではありません。所得税の準確定申告も必要になる場合があります。両者の違いを整理します。
比較表
| 項目 | 住民税 | 所得税(準確定申告) |
|---|---|---|
| 課税主体 | 市区町村(地方税) | 国(国税) |
| 対象期間 | 前年1月1日〜12月31日 | 死亡年の1月1日〜死亡日 |
| 申告の要否 | 不要(自治体が計算) | 相続人が申告 |
| 申告期限 | なし | 死亡を知った日から4ヶ月以内 |
| 提出先 | なし(通知が届く) | 故人の住所地の税務署 |
| 納付方法 | 納付書で納付 | 申告書と一緒に納付 |
準確定申告が必要なケース
以下に該当する場合、相続人は準確定申告を行う必要があります。
- 故人が自営業やフリーランスだった
- 給与収入が2,000万円を超えていた
- 2ヶ所以上から給与を受けていた
- 医療費控除を受けたい場合
- 公的年金等の収入が400万円を超えていた
準確定申告の期限は死亡を知った日から4ヶ月以内です。通常の確定申告(翌年3月15日まで)とは期限が異なるので注意してください。準確定申告を含む相続手続き全体の流れは「相続手続きを自分でやるには?8STEPの流れと費用を解説」でまとめています。
住民税の減免制度はある?
自治体ごとの減免制度
一部の市区町村では、以下のような場合に住民税の減免を認めています。
- 相続人の所得が著しく低い場合
- 生活保護を受給している場合
- 災害で財産に被害を受けた場合
減免の条件や申請方法は自治体ごとに異なります。該当する可能性がある場合は、お住まいの市区町村の税務課に相談してください。
延滞金に注意
納付期限を過ぎると延滞金が発生します。故人の住民税であっても、放置すると延滞金が加算されるため、届いた納付書は期限内に納付しましょう。
死亡後の住民税手続きの流れ
相続人が行う手続きを時系列で整理します。
| 時期 | やること | 届出先 |
|---|---|---|
| 死亡後すぐ | 死亡届の提出 | 市区町村役場 |
| 死亡後速やかに | 相続人代表者指定届の提出 | 市区町村の税務課 |
| 納付書が届いたら | 住民税の納付 | 金融機関・コンビニ等 |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告(必要な場合) | 故人の住所地の税務署 |
| 10ヶ月以内 | 相続税の申告(必要な場合) | 故人の住所地の税務署 |
住民税の手続きは比較的シンプルですが、他の税金(所得税・相続税)の手続きと並行して行う必要があるため、全体のスケジュールを把握しておくことが大切です。死亡届から各種届出までの全体像は「葬儀後にやることチェックリスト|手続きの期限と優先順位」をご覧ください。
よくある質問
Q. 亡くなった翌年に届いた住民税の通知書は払わないといけませんか?
はい、払う必要があります。住民税は前年の所得にもとづいて翌年課税されるため、亡くなった年の1月1日に生存していた場合、翌年6月から届く住民税は正当な課税です。ただし、さらにその翌年度(亡くなった翌々年度)は課税されません。
Q. 相続放棄をすれば住民税も払わなくて済みますか?
はい、相続放棄をすれば故人の住民税の納付義務は承継しません。ただし、相続放棄はプラスの財産も含めてすべてを放棄することになります。住民税の金額と相続財産の総額を比較して判断しましょう。相続放棄の期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内です。
Q. 住民税と準確定申告は両方やる必要がありますか?
住民税は自治体が自動的に計算するため、特別な申告は不要です。届いた納付書に従って納付します。一方、準確定申告は相続人が自分で計算・申告する必要があり、期限は死亡を知った日から4ヶ月以内です。両者は手続き先も異なるため、それぞれ対応が必要です。
Q. 故人の住民税を払い忘れるとどうなりますか?
納付期限を過ぎると延滞金が発生します。さらに放置すると、相続人に対して督促状が届き、最終的には財産の差し押さえが行われる可能性もあります。届いた納付書は速やかに対応しましょう。減免の対象となる場合は、納付期限前に市区町村の税務課に相談してください。
免責事項: この記事は2026年2月時点の法令・制度にもとづく一般的な情報提供を目的としています。住民税の取り扱いは市区町村によって異なる場合があります。個別の事情については、お住まいの市区町村の税務課や税理士にご相談ください。
最終更新日: 2026年2月27日
参考情報・出典
