【この記事の結論】 相続手続きの代行先は状況に応じて4つの専門家から選び、費用は5万〜30万円が目安です。
- 不動産の名義変更は司法書士 — 費用5〜15万円。相続登記の専門家で、最も依頼件数が多い
- 相続税の申告は税理士 — 費用は遺産総額の0.5〜1%。申告期限は10ヶ月以内
- トラブル時は弁護士 — 着手金10〜30万円。遺産分割の紛争や遺留分請求に対応
この記事の対象読者: 相続手続きを誰に頼むべきか迷っている方、専門家ごとの費用を比較したい方
読んだら今日やること: この記事の比較表で自分の状況に合う専門家を確認し、無料相談を予約しましょう
相続手続きの代行とは?自分でやるべきか専門家に頼むべきか
相続が発生すると、さまざまな手続きが必要になります。
- 戸籍謄本の収集(相続人の確定)
- 遺産の調査・財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 預貯金の解約・名義変更
- 相続税の申告・納付
これらの手続きは、時間と手間はかかるものの自分で行うことも可能です。
自分で手続きを進めたい方は「相続手続きを自分でやる方法|全体の流れと必要書類」をご覧ください。
ただし、次のようなケースでは専門家への依頼をおすすめします。
- 不動産が含まれている(登記手続きが複雑)
- 相続人が多い、または連絡が取れない相続人がいる
- 相続人同士で意見が合わない
- 相続税の申告が必要になりそう
- 仕事が忙しく時間が取れない
【比較表】専門家別の費用相場と業務範囲
相続手続きに関わる専門家は、主に4種類います。それぞれの費用相場と対応できる業務を一覧で比較します。
費用相場の比較
| 専門家 | 主な業務 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 行政書士 | 戸籍収集・書類作成 | 5〜15万円 |
| 司法書士 | 不動産の相続登記 | 5〜15万円(+登録免許税) |
| 税理士 | 相続税の申告 | 遺産総額の0.5〜1% |
| 弁護士 | 相続トラブルの解決 | 着手金10〜30万円 |
| 銀行(信託銀行) | 遺産整理の一括代行 | 100〜300万円 |
業務範囲の比較
| 業務内容 | 行政書士 | 司法書士 | 税理士 | 弁護士 |
|---|---|---|---|---|
| 戸籍・住民票の収集 | ○ | ○ | △ | ○ |
| 相続人の調査・確定 | ○ | ○ | △ | ○ |
| 遺産分割協議書の作成 | ○ | ○ | × | ○ |
| 不動産の相続登記 | × | ○ | × | × |
| 預貯金の解約手続き | ○ | ○ | × | ○ |
| 相続税の申告 | × | × | ○ | × |
| 相続トラブルの交渉 | × | △ | × | ○ |
| 裁判所での代理 | × | × | × | ○ |
※ ○=対応可能、△=一部対応可能、×=対応不可
行政書士に依頼するケースと費用
こんな方におすすめ
- 相続人同士でトラブルがない
- 不動産が含まれていない(預貯金・車・有価証券のみ)
- できるだけ費用を抑えたい
- 戸籍収集や書類作成だけお願いしたい
費用の目安
| 業務内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 戸籍謄本の収集(相続人調査) | 3〜5万円 |
| 相続関係説明図の作成 | 2〜3万円 |
| 遺産分割協議書の作成 | 5〜10万円 |
| 預貯金の解約代行 | 3〜5万円/1口座 |
| 相続手続き一式(パック) | 10〜30万円 |
メリットと注意点
メリット: 4つの専門家の中でもっとも費用が安い。「まずは相続関係の書類を整理したい」という段階で気軽に相談できます。
注意点: 不動産の登記は扱えないため、土地や建物の名義変更が必要な場合は別途司法書士への依頼が必要です。また、相続人同士のトラブルがある場合は対応できません。
司法書士に依頼するケースと費用
こんな方におすすめ
- 不動産(土地・建物)の名義変更が必要
- 相続登記の義務化(2024年4月〜)に対応したい
- トラブルはないが手続きが複雑
- 遺産整理全般をまとめて任せたい
費用の目安
| 業務内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 相続登記(不動産の名義変更) | 5〜15万円 |
| 登録免許税(実費) | 固定資産税評価額 × 0.4% |
| 戸籍収集 + 相続登記セット | 8〜20万円 |
| 遺産整理業務(全手続き一括) | 20〜50万円 |
| 相続放棄の申述書作成 | 3〜5万円 |
メリットと注意点
メリット: 不動産の相続登記は司法書士の独占業務です。登記以外にも戸籍収集から遺産分割協議書作成、預貯金の解約まで幅広く対応できるため、窓口を一本化しやすいのが特徴です。
注意点: 相続税の申告はできないため、相続税がかかる場合は別途税理士が必要です。また、相続人同士の紛争解決はできません。
不動産の相続登記について詳しくは「土地・不動産の相続手続きと名義変更|7ステップガイド」をご覧ください。
2024年4月から相続登記が義務化
2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。
- 期限: 相続を知った日から3年以内に登記
- 罰則: 正当な理由なく放置すると10万円以下の過料
- 過去の相続にも適用: 2024年4月以前の相続も対象(2027年3月31日が期限)
不動産を相続する方は、早めに司法書士に相談しましょう。
税理士に依頼するケースと費用
こんな方におすすめ
- 相続税の申告が必要(遺産総額が基礎控除を超える)
- 節税対策をしっかり行いたい
- 税務調査のリスクを抑えたい
- 不動産の評価額を正確に算出してほしい
費用の目安
| 遺産総額 | 費用の目安 |
|---|---|
| 5,000万円以下 | 30〜50万円 |
| 5,000万〜1億円 | 50〜80万円 |
| 1億〜3億円 | 80〜150万円 |
| 3億円超 | 150万円〜 |
※ 遺産総額の0.5〜1%が一般的な目安
メリットと注意点
メリット: 相続税の申告は税理士の独占業務です。土地の評価方法(路線価方式・倍率方式)によって税額が大きく変わるため、相続に強い税理士に依頼すると数百万円の差が出ることもあります。
注意点: 相続税がかからない場合(基礎控除以下の場合)は税理士への依頼は不要です。登記や紛争解決はできません。
基礎控除額の計算方法は「相続税はいくらからかかる?基礎控除の計算方法と申告の目安」で解説しています。
弁護士に依頼するケースと費用
こんな方におすすめ
- 相続人同士で揉めている
- 遺産分割協議がまとまらない
- 遺留分を請求したい(されている)
- 遺言書の有効性に疑問がある
- 相続放棄の期限が迫っている
費用の目安
| 業務内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 初回相談 | 無料〜1万円(30分〜1時間) |
| 遺産分割協議の代理(着手金) | 10〜30万円 |
| 遺産分割協議の代理(成功報酬) | 取得額の4〜16% |
| 遺産分割調停・審判 | 30〜50万円 + 成功報酬 |
| 遺留分侵害額請求 | 20〜40万円 + 成功報酬 |
| 相続放棄の申述 | 5〜10万円/1人 |
メリットと注意点
メリット: 弁護士は紛争解決のプロです。裁判所での代理権を持ち、調停や審判にも対応できます。相続人同士のトラブルがある場合は、弁護士に依頼するのが最善です。
注意点: 4つの専門家の中でもっとも費用が高いです。トラブルがなく手続きだけなら、司法書士や行政書士の方がコストパフォーマンスが良いでしょう。
相続放棄の手続きについては「相続放棄の手続き・期限・やり方を完全解説」もご覧ください。
銀行(信託銀行)に依頼する場合
銀行の「遺産整理業務」は、相続手続きをまとめて任せられるサービスです。
費用の目安
- 最低報酬: 100万円前後
- 遺産総額に応じた報酬: 遺産総額の1〜3%
- 実費: 各士業への外注費が別途かかる場合も
メリットと注意点
メリット: 窓口が一本化されるため、自分で複数の専門家を探す必要がありません。大手銀行の信頼感もあります。
注意点: 実際の作業は銀行が提携する司法書士や税理士に外注されるため、中間マージンが上乗せされます。同じ内容を直接各士業に依頼すれば、費用を大幅に節約できます。
【ケース別】あなたに合った依頼先チェックリスト
ケース1: 預貯金のみ・トラブルなし → 行政書士
- 不動産は含まれない
- 相続人全員の仲が良い
- 費用をできるだけ安く抑えたい
- 費用目安: 10〜20万円
ケース2: 不動産あり・トラブルなし → 司法書士
- 土地や建物の名義変更が必要
- 相続人全員で合意できている
- 登記以外の手続きもまとめて任せたい
- 費用目安: 15〜30万円
ケース3: 相続税がかかりそう → 税理士 + 司法書士
- 遺産総額が基礎控除を超えそう
- 節税対策もしたい
- 不動産の相続登記も必要
- 費用目安: 40〜100万円
ケース4: 相続人同士で揉めている → 弁護士
- 遺産分割で話し合いがまとまらない
- 遺言書の内容に不満がある
- 遺留分を請求したい
- 費用目安: 30〜80万円
ケース5: 全部任せたいが費用は抑えたい → 司法書士(遺産整理業務)
- すべての手続きをまとめて依頼したい
- 銀行より費用を抑えたい
- 適切な専門家への橋渡しもしてほしい
- 費用目安: 20〜50万円
費用を抑えるための3つのポイント
1. 自分でできる部分は自分で行う
戸籍謄本の収集は、市区町村の窓口で自分で取得できます。これだけで3〜5万円の節約になります。
2. 複数の事務所から見積もりを取る
同じ業務でも事務所によって費用は大きく異なります。最低でも2〜3か所から見積もりを取りましょう。
3. パック料金(セット価格)を活用する
多くの司法書士事務所や行政書士事務所では、「相続手続き一式パック」を用意しています。個別に依頼するよりもお得になることが多いです。
無料で相談できる窓口一覧
まずは無料相談を活用して、自分のケースに合った専門家を見つけましょう。
| 窓口 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 市区町村の無料法律相談 | 弁護士・司法書士による相談会 | 無料 |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 収入要件ありの法律相談 | 無料(3回まで) |
| 各士業の無料相談会 | 司法書士会・行政書士会等の主催 | 無料 |
| 税務署 | 相続税に関する一般的な質問 | 無料 |
相続税の生前対策もお考えの方は「相続税対策は生前がカギ!7つの節税方法をわかりやすく解説」もぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 相続手続きをまるごと1か所に任せることはできますか?
はい、可能です。司法書士事務所や行政書士事務所の「遺産整理業務」「相続手続き代行パック」を利用すれば、戸籍収集から名義変更まで一括で対応してもらえます。相続税の申告が必要な場合は、提携の税理士を紹介してもらえることが多いです。費用は20〜50万円程度が目安です。
Q. 相続手続きの代行を依頼すると、どのくらいの期間がかかりますか?
一般的に2〜6か月程度です。相続人の数や遺産の内容によって変わります。戸籍収集に1〜2か月、遺産分割協議に1〜2か月、名義変更手続きに1〜2か月が目安です。相続人が多い場合や遠方の戸籍が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。
Q. 相続手続きの代行費用は遺産から支払えますか?
はい、遺産分割協議で合意すれば、遺産の中から専門家への報酬を支払うことが可能です。ただし、手続き完了前に費用が発生する場合は、一旦立て替えが必要になることもあります。事前に支払い方法を確認しておきましょう。
Q. 弁護士と司法書士の両方に依頼する必要はありますか?
トラブルがない場合は、司法書士だけで多くの手続きに対応できます。弁護士が必要になるのは、遺産分割で揉めている場合や、遺留分の請求が必要な場合など、法的な紛争がある場合です。まずは司法書士に相談し、紛争の可能性がある場合に弁護士を紹介してもらうのが効率的です。
Q. 相続手続きを放置するとどうなりますか?
2024年4月から相続登記が義務化されたため、不動産の名義変更を3年以内に行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。また、預貯金の相続手続きを放置すると、口座が凍結されたままで引き出せなくなります。さらに時間が経つと相続人が増え、手続きがより複雑になるため、早めの対応が大切です。
この記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な費用は事務所や案件によって異なります。相続に関する具体的なご相談は、各専門家にお問い合わせください。
最終更新日: 2026年2月23日
