「特養に申し込んだのに、いつまで待っても連絡が来ない…」 「親の介護が限界に近いのに、特養に入れないなんて」
こうした悩みを抱えるご家族は少なくありません。
特別養護老人ホーム(特養)は費用が安く、終身で入れる施設として人気があります。しかし、全国で約22.5万人が入所を待っているのが現状です。
この記事では、特養に入れない理由や待機期間の実態をデータで解説したうえで、入所の優先順位を上げる7つの対策と待機中に活用できる代替施設の費用比較をくわしくご紹介します。
ご家族に合った最善の方法が見つかりますので、ぜひ最後までお読みください。
【この記事の結論】 特養の待機者は全国約22.5万人・待機期間は平均2〜3年ですが、7つの対策で入所の優先順位を上げられます。
- 入所は点数制で決まる — 先着順ではなく、介護度・緊急性・家庭環境を点数化した判定会議で選定
- 複数施設への同時申し込みが有効 — 申込書に緊急性を具体的に記載することで優先度アップ
- 待機中は代替施設を活用 — 老健・サ高住・グループホームで費用を抑えつつ介護を受けられる
この記事の対象読者: 特養に申し込んだが入所できず困っている方、親の介護で施設を探している方
読んだら今日やること: お住まいの地域の特養3施設以上に入所申し込みを提出しましょう
特養に入れない理由|なぜこんなに待機者が多いのか
特養は公的な介護施設のなかでも、とくに人気が集中する施設です。まずは、入れない理由を正しく理解しましょう。
特養の入居待ち期間中、制限食対応の宅食サービスを利用すれば、在宅介護の食事準備の負担を軽くできます。
待機者数は全国で約22.5万人
厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(2025年4月時点)によると、特養の待機者数は全国で約22.5万人にのぼります。
待機者の推移は以下のとおりです。
| 調査年 | 待機者数 |
|---|---|
| 2014年3月 | 約52万人 |
| 2019年 | 約29.2万人 |
| 2022年4月 | 約27.5万人 |
| 2025年4月 | 約22.5万人 |
減少傾向にはありますが、依然として多くの方が入所を待っている状況です。
待機者が多い3つの理由
特養に待機者が多い理由は、おもに次の3つです。
1. 費用が安い
特養の月額費用は約7万〜15万円で、民間の有料老人ホーム(月額11万〜20万円)と比べて大幅に安くなっています。入居一時金も不要なため、経済的な理由から希望者が集中します。
2. 終身で利用できる
特養は原則として終身利用が可能です。一度入所すれば、最期まで暮らし続けられる安心感があります。
3. 入所条件が要介護3以上に限定されている
2015年の介護保険制度改正で、入所条件が要介護3以上に引き上げられました。対象者は絞られましたが、重度の方が集中するため、ベッドの回転率が下がり待機が長くなっています。
特養の待機期間はどれくらい?地域別データ
特養に入所するまでの待機期間は、地域によって大きく異なります。
全国平均は約2〜3年
特養の待機期間は、全国平均で約2〜3年とされています。ただし、これはあくまで平均であり、1ヶ月以内に入れるケースもあれば、5年以上待つケースもあります。
厚生労働省の調査によると、1施設あたりの平均待機者数は約36人です。特養の定員は平均70〜80人程度のため、単純計算で定員の約半数にあたる方が入所を待っている計算になります。
地域別の待機期間の目安
| 地域 | 待機期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 都市部(東京・大阪・神奈川など) | 1〜3年(最長5年以上) | 人口が多く施設数が不足 |
| 地方都市 | 半年〜2年 | 施設によってはすぐ入れることも |
| 過疎地域 | 数ヶ月〜1年 | 施設の空きがある場合も |
ポイント 都道府県別の待機者数は東京都が18,776人で最多です。都市部では複数の施設に申し込むことが特に重要です。
入所は「先着順」ではない
意外に知られていませんが、特養への入所は申し込み順ではありません。
各施設で月1回ほど開催される「入所判定委員会」で、要介護度・認知症の状況・介護者の状況などを点数化し、合計点の高い方から入所が決まります。
つまり、早く申し込めば早く入れるわけではなく、「入所の必要性が高い」と判断された方が優先される仕組みです。
特養に入れないときの対策7選|優先順位を上げる方法
特養に少しでも早く入所するために、今日からできる具体的な対策を7つご紹介します。
対策1: 複数の施設に同時申し込みする
特養は複数の施設に同時に申し込むことが可能です。
1ヶ所だけに申し込んで待つよりも、3〜5ヶ所に登録しておくことで入所のチャンスが広がります。施設ごとに待機者の状況が異なるため、空きが出るタイミングも違います。
ポイント 同じ地域だけでなく、少し離れた地域の施設にも目を向けてみましょう。郊外の施設は待機者が少ない傾向があります。
対策2: 申込書に緊急性を具体的に書く
入所の優先順位は点数で決まります。申込書には、介護の大変さや家庭の事情をできるだけ具体的に書くことが大切です。
記載のコツ: – 「介護者が高齢」→「介護者(78歳)が腰痛を抱えており、夜間のおむつ交換が困難」 – 「認知症がある」→「認知症による徘徊が週3回以上あり、近隣への迷惑が生じている」 – 「家族の負担が大きい」→「主介護者の妻がうつ症状で通院中」
漠然とした記載よりも、具体的なエピソードや頻度を書いた方が、緊急性が伝わりやすくなります。
対策3: 状況の変化をこまめに施設へ報告する
申し込み後に家庭や本人の状況が変わったら、すぐに施設へ連絡しましょう。
以下のような変化は、優先順位が上がる可能性があります。
- 要介護度が上がった(要介護3→要介護4など)
- 介護者が病気やケガをした
- 介護者が仕事を辞めざるを得なくなった
- 同居家族が転勤・引っ越しで不在になった
- 認知症の症状が進行した
状況報告をしないまま放置すると、古い情報のままで判定されてしまいます。3ヶ月に1回は施設に連絡することをおすすめします。
対策4: ショートステイを積極的に活用する
特養に併設されているショートステイ(短期入所生活介護)を利用するのも効果的な対策です。
ショートステイを利用するメリットは2つあります。
- 施設のスタッフに本人の状態を知ってもらえる: 日頃の介護の様子が伝わり、入所の必要性を理解してもらいやすくなります。
- 待機中の介護負担を軽減できる: 最大連続30日まで利用でき、家族の休息(レスパイト)にもなります。
注意 ショートステイは連続30日を超えると31日目は全額自費となり、32日目以降は介護報酬が減算されます。さらに2024年4月の介護報酬改定で、61日目以降はより大きな減算が適用されるようになりました。長期利用を希望する場合は、ケアマネジャーに相談してください。
対策5: ユニット型の施設を狙う
特養には「多床室(相部屋)」と「ユニット型個室」の2タイプがあります。
ユニット型個室は月額費用がやや高くなるため、希望者が少ない傾向にあります。多床室が満床でも、ユニット型なら空きがあるというケースは珍しくありません。
| タイプ | 月額費用の目安 | 待機状況 |
|---|---|---|
| 多床室(相部屋) | 約7万〜10万円 | 待機者が多い |
| ユニット型個室 | 約10万〜15万円 | 比較的空きがある |
費用に余裕がある場合は、ユニット型も選択肢に入れてみましょう。
対策6: 要介護1・2でも「特例入所」を確認する
原則は要介護3以上が入所条件ですが、以下のような事情がある場合は「特例入所」として要介護1・2でも入所が認められることがあります。
- 認知症で日常生活に著しい支障がある
- 知的障害・精神障害により生活が困難
- 家族による虐待で心身の安全が確保できない
- 一人暮らしで十分な介護サポートがない
特例入所を希望する場合は、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険課に相談してください。
対策7: ケアマネジャーと密に連携する
ケアマネジャーは特養入所の強い味方です。
ケアマネジャーは地域の施設情報に詳しく、空き状況や入所のコツを把握しています。定期的に連絡を取り、以下の点を相談しましょう。
- どの施設に空きが出そうか
- 申込書の書き方に改善点はないか
- 在宅介護で利用できるサービスは他にないか
- 要介護認定の区分変更を申請すべきか
待機期間中の食事サポート
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特養に入れない場合の代替施設5選|費用比較表つき
特養の入所を待っている間、他の施設を活用することも検討しましょう。ここでは、代替となる5つの施設を費用比較とともにご紹介します。
代替施設の費用比較一覧
| 施設種別 | 対象者 | 月額費用の目安 | 入居一時金 | 終身利用 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特養 | 要介護3以上 | 7万〜15万円 | なし | ○ | 費用が安い・待機が長い |
| 老健(介護老人保健施設) | 要介護1以上 | 8万〜15万円 | なし | ×(3〜6ヶ月) | リハビリ中心・短期利用 |
| サ高住(サービス付き高齢者向け住宅) | 自立〜軽度介護 | 10万〜30万円 | 敷金15万〜50万円 | △ | 自由度が高い・賃貸型 |
| グループホーム | 認知症(要支援2以上) | 12万〜18万円 | 施設による | △ | 認知症専門・少人数 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要介護者全般 | 11万〜20万円 | 0円〜数千万円 | ○ | 24時間介護・すぐ入れる |
老健(介護老人保健施設)
老健はリハビリを中心とした施設で、在宅復帰を目指す方が対象です。
月額費用は特養と同程度(8万〜15万円)と安価ですが、入所期間は原則3〜6ヶ月の短期利用です。特養の空きを待つ間の「つなぎ」として利用する方が多くいます。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)
サ高住は、安否確認や生活相談のサービスがついたバリアフリーの賃貸住宅です。
自立している方から軽度の要介護の方まで幅広く入居できます。介護が必要な場合は外部の介護サービスを利用します。自由度が高い反面、月額費用は10万〜30万円と特養より高くなります。
グループホーム
グループホームは、認知症の方を対象にした小規模な共同生活施設です。
5〜9人の少人数で家庭的な環境のなかで暮らすため、認知症の進行を緩やかにする効果が期待できます。ただし、施設のある市区町村に住民票があることが入居条件となります。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、24時間体制の介護サービスを受けられる民間施設です。
特養と同じく終身利用が可能で、待機期間も比較的短い傾向にあります。ただし、入居一時金が数百万円かかる施設もあるため、費用面の確認は必ず事前に行いましょう。
「特養待ち」として代替施設を活用するケース
費用をできるだけ抑えたい場合は、特養の入所順が回ってくるまで老健やサ高住で過ごすという方法が現実的です。
特養への入所が決まったら退去する前提で、期間限定の利用として相談すると、受け入れてもらいやすくなります。
「どの施設が自分の親に合っているか分からない」という方は、介護施設の種類と選び方を参考にしたり、介護施設の紹介サービスに相談するのもおすすめです。無料で専門スタッフが条件に合う施設を提案してくれます。
待機中に活用できる在宅介護サービス
施設への入所だけでなく、在宅介護サービスを組み合わせることで、待機期間を乗り越えることもできます。
ショートステイ(短期入所生活介護)
一時的に施設に泊まりながら介護を受けられるサービスです。介護者の休息や急な用事のときに活用できます。
- 利用日数: 連続最大30日まで(介護認定期間の半数が上限)
- 費用: 1日あたり約2,000〜5,000円(介護保険1割負担の場合)
デイサービス(通所介護)
日中に施設へ通い、入浴・食事・リハビリなどを受けるサービスです。
介護者が日中に仕事をしたり、自分の時間を確保したりするのに役立ちます。利用者同士の交流やレクリエーションも行われるため、本人の社会参加にもつながります。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(入浴・排泄・食事の介助)や生活援助(掃除・洗濯・買い物)を行います。介護保険が適用されるため、自己負担は1〜3割です。
ポイント ショートステイ・デイサービス・訪問介護を上手に組み合わせることで、特養に入るまでの期間を在宅で無理なく過ごせます。ケアマネジャーと相談して、最適なプランを作りましょう。
よくある質問
Q. 特養の申し込みは何ヶ所まで同時にできますか?
A. 申し込み数に上限はありません。一般的には3〜5ヶ所に同時申し込みする方が多いです。地域をまたいで申し込むことも可能なので、通える範囲を広めに設定してみてください。
Q. 特養の待機中に要介護度が変わったらどうすればいいですか?
A. 要介護度が変わった場合は、すぐに申し込み先の施設に連絡してください。要介護度が上がると入所判定の点数も上がるため、優先順位が変動する可能性があります。ケアマネジャーにも報告しましょう。
Q. 特養は費用を払えないと退所させられますか?
A. 特養の費用が負担になる場合は、「負担限度額認定制度」を活用できる場合があります。所得や資産に応じて食費・居住費が軽減される制度で、市区町村に申請します。退所の前にまず自治体の窓口に相談してください。
Q. コネがあれば特養に早く入れますか?
A. 特養の入所は点数制の判定会議で決まるため、コネで入所順を飛ばすことは基本的にできません。公正な選考を行うために、都道府県ごとに「入所指針」が定められています。正当な手続きで優先順位を上げる対策を取ることが大切です。
Q. 特養に入れない場合、行政に相談できますか?
A. はい。市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに相談できます。待機状況の確認や、利用可能な介護サービスの案内を受けられます。虐待や介護放棄などの深刻な状況がある場合は、行政による「措置入所」が認められることもあります。
Q. 特養の待機期間はどのくらい?
A. 全国平均で約2〜3年ですが、地域によって大きく異なります。東京都や大阪府などの都市部では3〜5年以上かかることもある一方、地方や過疎地域では数ヶ月〜1年で入所できるケースもあります。1施設あたりの平均待機者数は約36人です。複数施設に同時申し込みすることで、早く入所できる可能性が高まります。
Q. 特養に早く入るコツは?
A. 最も効果的なのは3〜5ヶ所以上の施設に同時申し込みすることです。そのうえで、申込書に介護の大変さを具体的に記載し(「夜間のおむつ交換が困難」など)、状況変化があればすぐに施設へ報告しましょう。ユニット型個室は多床室より空きが出やすい傾向があります。また、入所したい施設のショートステイを利用して、スタッフに本人の状態を知ってもらうのも有効です。
Q. 特養以外の選択肢は?
A. 特養の空きを待つ間の代替施設として、老健(月額8万〜15万円・3〜6ヶ月の短期利用)、グループホーム(月額12万〜18万円・認知症の方向け)、サ高住(月額10万〜30万円・自由度が高い)、介護付き有料老人ホーム(月額11万〜20万円・24時間介護)があります。費用は特養より高くなりますが、待機期間が短い傾向があります。在宅介護サービス(ショートステイ・デイサービス・訪問介護)を組み合わせて待機期間をしのぐ方法もあります。
特養待ちの間の食事サポート
特養の入居待ちの期間も、制限食対応の宅配弁当で栄養バランスの取れた食事が可能です。
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まとめ
この記事では、特養に入れない場合の対策と代替施設について解説しました。要点を振り返ります。
- 特養の待機者数は全国で約22.5万人。待機期間は平均2〜3年
- 入所は先着順ではなく、点数制の判定会議で決まる
- 複数施設への申し込み、緊急性の具体的な記載、ショートステイの活用などで優先順位を上げられる
- 待機中は老健・サ高住・グループホーム・有料老人ホームなどの代替施設も検討する
- ショートステイ・デイサービス・訪問介護を組み合わせて在宅介護の負担を軽減する
特養に入れないと分かると、不安や焦りを感じるのは当然のことです。しかし、対策を知って行動すれば、状況は改善できます。
まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、ご家族に合った最善の方法を一緒に考えていきましょう。
施設選びに迷ったら、介護施設の無料紹介サービスを利用するのも一つの手段です。専門スタッフが予算や条件に合った施設を提案してくれるため、一人で悩まずに済みます。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としています。 個別の事情については、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険課、厚生労働省 介護サービス情報公表システムをご活用ください。
