「お墓が何基もあって管理が大変」「子どもの代に負担を残したくない」。こうしたお悩みを持つ方に注目されているのが「寄せ墓」です。

寄せ墓とは、複数のお墓を1つにまとめることです。お墓を完全になくす墓じまいとは異なり、お墓自体は残しながら管理の負担を減らせる方法として選ばれています。

この記事では、寄せ墓の費用相場と手順を7つのステップで解説します。メリット・デメリットや失敗しないための注意点もあわせて紹介しますので、検討中の方はぜひ参考にしてください。

【この記事の結論】 寄せ墓の費用は同一区画で約100万円、新規建立で130〜200万円。7ステップで完了します。

  • 費用相場 — 同じ区画内なら約100万円(撤去費10万円/平米+供養のお布施)、別の霊園に建てるなら130〜200万円
  • 手順は7ステップ — 親族相談→管理者連絡→石材店見積もり→改葬許可→閉眼供養→墓石撤去→納骨・開眼供養
  • 最大の注意点 — 親族全員の同意が必須。離檀料(5〜20万円)や指定石材店制度の確認も忘れずに

この記事の対象読者: 複数のお墓の管理に困っている方、墓じまいではなくお墓を残したい方

読んだら今日やること: 親族に寄せ墓の意向を伝え、石材店3社に見積もりを依頼する

寄せ墓とは?基本をわかりやすく解説

まずは寄せ墓の意味と、墓じまいとの違いを確認しましょう。

寄せ墓と合わせて、改葬先として海洋散骨を検討する方も増えています。管理費が不要になるため負担を軽減できます。

寄せ墓(よせはか)の意味

寄せ墓とは、複数のお墓を1つにまとめることです。「まとめ墓」とも呼ばれます。

たとえば同じ霊園内に本家と分家のお墓が3基ある場合、古い墓石を撤去して1基の新しいお墓に遺骨をすべて納め直します。お墓の数が減ることで、管理の手間や費用が大幅に軽減されます。

墓じまいとの違い

寄せ墓と墓じまいは似ているようで異なります。

比較項目 寄せ墓 墓じまい
お墓の扱い 1つに集約(お墓は残る) 完全に撤去(お墓はなくなる)
遺骨の行き先 まとめた1基のお墓に納骨 永代供養墓・散骨・手元供養など
費用の目安 100〜200万円 30〜300万円
管理義務 引き続き必要(ただし1ヶ所のみ) なくなる
おすすめな方 お墓を残したい方 お墓の管理自体をやめたい方

墓じまいの費用について詳しくは「墓じまいの費用相場」をご覧ください。

寄せ墓が増えている3つの理由

近年、寄せ墓を選ぶ方が増えています。その背景には次の3つの理由があります。

  1. 管理者の高齢化: 複数の墓地に足を運ぶのが体力的に難しくなった
  2. 後継者の減少: 少子化や一人っ子同士の結婚で、管理するお墓が増えている
  3. 管理費の負担: 複数の霊園に年間管理費を支払い続けるのが経済的に厳しい

「お墓を完全になくすのは抵抗があるけれど、管理の負担は減らしたい」という方に寄せ墓は向いています。

寄せ墓の費用はいくら?ケース別の相場

寄せ墓の費用はまとめ方によって大きく異なります。ケース別に相場を見ていきましょう。

同じ区画内でまとめる場合(約100万円)

同じ霊園や墓地の区画内で複数の墓石を1つにまとめる場合、費用は約100万円が目安です。

費用項目 金額の目安 備考
墓石撤去費 10万円/㎡ 撤去する墓石の面積×単価
新しい墓石の加工 0〜50万円 既存の墓石を使う場合は不要
閉眼供養(魂抜き)のお布施 1〜5万円 撤去前の儀式
開眼供養(魂入れ)のお布施 1〜5万円 納骨時の儀式
納骨作業費 3〜5万円 石材店の作業費

同じ区画内での移動であれば、改葬許可が不要な場合もあり、手続きが比較的簡単です。

新しいお墓を建てる場合(130〜200万円)

別の霊園に新しくお墓を建ててまとめる場合、費用は130〜200万円が目安です。

費用項目 金額の目安 備考
旧墓石の撤去費 10万円/㎡ 撤去する墓石ごとに発生
新しい墓石の建立費 100〜300万円 石種・デザイン・広さで変動
永代使用料 30〜100万円 新しい墓地の使用権
閉眼・開眼供養のお布施 各1〜5万円 撤去元と納骨先で各1回
改葬許可の手数料 数百〜数千円 役所・墓地管理者への手数料

遠方の墓地から近くの墓地に移す場合は、運搬費用も別途かかります。

行政手続きにかかる費用

遺骨を別の墓地に移す場合は改葬許可が必要です。手続き自体の費用は少額です。

書類 費用の目安 取得先
改葬許可申請書 無料〜1,000円 現在の墓地がある市区町村役場
埋蔵証明書 300〜1,500円 現在の墓地管理者
受入証明書 無料〜数千円 新しい墓地の管理者

費用を抑える3つのコツ

寄せ墓の費用を抑えるためのポイントを紹介します。

  1. 複数の石材店から見積もりを取る: 費用は石材店によって差があるため、最低3社は比較する
  2. 自治体の助成金を確認する: 一部の自治体では墓じまいや改葬に関する補助金制度がある
  3. 既存の墓石を再利用する: 状態のよい墓石はそのまま使えることもある

寄せ墓の手順|7つのステップで解説

寄せ墓は以下の7つのステップで進めます。順番に見ていきましょう。

STEP 1. 親族に相談する

寄せ墓で最も重要なのは、親族全員の同意を得ることです。

お墓には故人への思いが込められています。事前に相談せずに進めてしまうと、「先祖代々のお墓を勝手にまとめるなんて」と親族間のトラブルに発展する可能性があります。

特に以下の方には必ず相談しましょう。

  • 祭祀承継者(お墓を管理している方)
  • 法定相続人
  • 親族の中でお墓参りをしている方

STEP 2. 墓地管理者に連絡する

現在のお墓がある霊園や寺院の管理者に、寄せ墓を検討している旨を伝えます。

寺院墓地の場合は住職への相談が必要です。檀家をやめて別の墓地に移す場合は「離檀料」が発生することがあります。離檀料について詳しくは「離檀料の相場」をご覧ください。

STEP 3. 石材店に見積もりを依頼する

石材店に連絡し、墓石の撤去費用と新設費用の見積もりを依頼します。墓石ナビでは複数の石材店を一括比較できます。

ポイントは以下の3つです。

  • 最低3社から見積もりを取る: 費用を比較できる
  • 指定石材店制度を確認する: 霊園によっては指定の石材店しか工事できない
  • 追加料金の有無を確認する: 運搬費、基礎工事費など

STEP 4. 行政手続き(改葬許可申請)

遺骨を別の墓地に移す場合は、墓地、埋葬等に関する法律に基づく改葬許可申請が必要です。以下の書類を準備します。

書類 取得先 用途
改葬許可申請書 現在の墓地がある市区町村役場 改葬の許可を申請する
埋蔵証明書 現在の墓地管理者 遺骨が埋蔵されていることの証明
受入証明書 新しい墓地の管理者 新しい墓地が遺骨を受け入れることの証明

申請書は役場の窓口で入手できるほか、自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。遺骨1体につき1枚の申請書が必要なため、まとめる遺骨の数だけ申請書を用意してください。

なお、同じ区画内で墓石を移動するだけで遺骨の場所が変わらない場合は、改葬許可が不要なケースもあります。事前に管理者に確認しましょう。

STEP 5. 閉眼供養(魂抜き)

撤去する墓石に対して「閉眼供養(へいがんくよう)」を行います。

閉眼供養とは、墓石に宿っている魂を抜く儀式のことです。「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。この儀式を行うことで、墓石がただの石に戻り、撤去が可能になります。

お布施の相場は1〜5万円です。

STEP 6. 墓石撤去・遺骨取り出し

石材店が墓石を撤去し、カロート(納骨室)から遺骨を取り出します。

取り出した遺骨は以下の点を確認しましょう。

  • 骨壺に水がたまっていないか
  • カビや劣化がないか
  • 遺骨の数と身元が合っているか

遺骨が多くて新しいお墓に入りきらない場合は、粉骨して体積を減らす方法もあります。粉骨について詳しくは「粉骨の方法と費用」をご覧ください。

STEP 7. 納骨・開眼供養(魂入れ)

新しい(またはまとめた先の)お墓に遺骨を納め、「開眼供養(かいがんくよう)」を行います。

開眼供養は墓石に魂を入れる儀式で、「魂入れ」「お性根入れ」とも呼ばれます。この儀式によって、墓石が故人の魂が宿る供養の対象となります。

お布施の相場は1〜5万円です。

墓石の撤去・建立費用を比較するなら
複数の石材店から一括で見積もりを取ることで費用を抑えられます。
墓石ナビで一括見積もりする →

寄せ墓のメリット・デメリット

寄せ墓にはメリットとデメリットの両方があります。事前に理解したうえで判断しましょう。

4つのメリット

メリット 具体的な内容
管理の手間が減る 掃除やお花の交換が1ヶ所で済む
管理費が削減できる 年間管理費の支払いが1ヶ所分になる
お墓参りが楽になる 遠方まで出かける必要がなくなる
後継者の負担が軽くなる 子ども世代が管理するお墓が1つになる

5つのデメリット

デメリット 具体的な内容
初期費用がかかる 100〜200万円の費用が必要
親族の同意が必要 反対される場合もある
宗派が異なると難しい 寺院墓地では宗派制限がある場合がある
遺骨が入りきらないことがある カロートの容量に限界がある
元に戻せない 一度撤去した墓石は復元できない

寄せ墓で失敗しないための5つの注意点

寄せ墓でよくある失敗を防ぐために、以下の5つの注意点を押さえておきましょう。

1. 親族全員の同意を得る

寄せ墓で最も多いトラブルは、親族間の意見の相違です。

「先祖代々のお墓を壊すなんて」「相談もなしに決めるな」といった反発を受けないよう、計画の早い段階で親族に声をかけましょう。特に遠方に住んでいる親族にも連絡を忘れずに。

全員が集まる法事やお盆のタイミングで相談するのも一つの方法です。

2. 寺院の離檀料を確認する

寺院墓地にお墓がある場合、墓石を撤去して他に移すと「離檀(りだん)」することになります。寺院によっては離檀料を求められることがあります。

離檀料の相場は5〜20万円程度ですが、高額な離檀料を請求されるトラブルも報告されています。事前に住職としっかり話し合いましょう。

3. 指定石材店制度を確認する

一部の霊園や墓地では「指定石材店制度」を設けており、指定された石材店以外の業者は工事を行えません。

自分で安い石材店を見つけても指定外であれば依頼できないため、事前に確認しておくことが大切です。

4. 遺骨が入りきるか確認する

複数のお墓の遺骨をまとめると、カロート(納骨室)の容量を超えてしまうことがあります。

この場合の対処法は以下のとおりです。

  • 粉骨する: 遺骨をパウダー状にして体積を減らす
  • カロートを拡張する: 納骨室を広げる工事を行う(追加費用あり)
  • 古い遺骨を合祀する: 古い遺骨を霊園の合祀墓に納める

5. 宗派の違いを確認する

寺院墓地にお墓をまとめる場合、受け入れ先の寺院と同じ宗派でなければ断られることがあります。

民営霊園や公営霊園であれば宗派を問わない場合がほとんどです。宗派が異なる遺骨をまとめたい場合は、宗旨宗派不問の霊園を検討しましょう。

寄せ墓以外の選択肢

お墓の管理負担を減らす方法は寄せ墓だけではありません。他の選択肢も検討してみましょう。

墓じまい+永代供養

お墓を完全に撤去し、遺骨を永代供養墓に移す方法です。寺院や霊園が永続的に供養してくれるため、管理の負担はゼロになります。費用は合祀墓なら3〜10万円程度です。

墓じまい+散骨

お墓を撤去し、遺骨を粉骨して海や山に撒く方法です。お墓自体がなくなるため、管理費も管理義務もなくなります。

墓じまい+手元供養

お墓を撤去し、遺骨の一部をミニ骨壺やアクセサリーに納めて自宅で供養する方法です。故人を身近に感じられる点が特徴です。

墓じまいの費用や手続きについて詳しくは「墓じまいの費用相場」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 寄せ墓に改葬許可は必要ですか?

遺骨を別の墓地に移す場合は改葬許可が必要です。現在の墓地がある市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を交付してもらいます。ただし同じ区画内で遺骨を移動するだけの場合は、改葬許可が不要なケースもあります。

Q. 宗派が異なる遺骨もまとめられますか?

民営霊園や公営霊園であれば宗派不問のため、宗派が異なる遺骨もまとめられます。ただし寺院墓地の場合は、受け入れ先の寺院と同じ宗派でなければ断られることがあります。宗派の異なる遺骨をまとめたい場合は、宗旨宗派不問の霊園を選びましょう。

Q. 寄せ墓にかかる期間はどのくらいですか?

一般的に2〜3か月程度です。親族への相談・同意取得に1か月、行政手続きに2〜4週間、墓石の撤去・建立に2〜4週間が目安です。ただし親族の合意が取れなかったり、石材店の繁忙期(お盆・お彼岸前後)と重なると、さらに時間がかかることがあります。

Q. 寄せ墓をした後にまた分けることはできますか?

粉骨していない遺骨であれば、再び別のお墓に分けて納骨することは可能です。ただし撤去した墓石を元に戻すことはできません。再度分ける場合は新たにお墓を建てる費用がかかります。

寄せ墓以外の選択肢として海洋散骨も
お墓の管理を完全に不要にしたい方には、海洋散骨という選択肢もあります。
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まとめ

寄せ墓は、複数のお墓を1つにまとめることでお墓の管理負担を軽減する方法です。

費用相場は同じ区画内でまとめる場合で約100万円、新しいお墓を建てる場合で130〜200万円です。手順は親族相談→管理者連絡→石材店見積もり→改葬許可申請→閉眼供養→墓石撤去→納骨・開眼供養の7ステップで進めます。

最も大切なのは、親族全員の同意を得ることです。お墓には故人への思いが込められていますので、十分に話し合ったうえで進めましょう。

まずは現在のお墓の管理者と石材店に相談し、見積もりを取るところから始めてみてはいかがでしょうか。


※この記事は一般的な情報提供を目的としています。費用は石材店や地域によって異なりますので、必ず事前に見積もりを取ってご確認ください。

最終更新日: 2026年2月22日

参考情報・出典