「焼香のやり方がわからない」「何回やればいいの?」。初めてのお葬式で焼香の作法に戸惑う方は多いのではないでしょうか。

焼香の回数や「おしいただく・いただかない」の作法は宗派によって異なります。正しい作法を知っておくと、いざというときに慌てずに済みます。

この記事では、焼香のやり方と回数を宗派別に一覧表つきでわかりやすく解説します。立礼焼香の手順も9ステップで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【この記事の結論】 焼香は9ステップの手順を覚えれば安心。宗派別の回数は8宗派を一覧表で確認できます。

  • 基本手順9ステップ — 席を立つ→遺族に一礼→遺影に一礼→数珠を左手に→抹香をつまむ→おしいただく→香炉にくべる→合掌→席に戻る
  • 宗派別の回数 — 真言宗3回・曹洞宗2回・浄土真宗(西)1回・浄土真宗(東)2回。宗派不明なら1回でOK
  • 浄土真宗の注意点 — おしいただかずにそのまま香炉にくべる。線香は折って横に寝かせる

この記事の対象読者: 初めて葬儀に参列する方、焼香の回数や作法に不安がある方

読んだら今日やること: 自分の家の宗派を親族に確認しておく

焼香とは?意味と種類を知っておこう

焼香(しょうこう)とは、仏式の葬儀や法要で、香を焚いて故人を供養する儀式です。香の煙が天に届き、故人に想いを届けるという意味があります。

焼香には主に2つの種類があります。

種類 使うもの 場面
抹香(まっこう)焼香 粉末状の香 通夜・葬儀・告別式
線香焼香 棒状の線香 法要・自宅での弔問

通夜や葬儀では抹香を使った焼香が一般的です。この記事では、抹香焼香を中心に解説し、線香焼香についても後半で触れます。

焼香の3つの形式(立礼・座礼・回し焼香)

焼香には会場に合わせた3つの形式があります。

形式 やり方 場面
立礼焼香(りつれいしょうこう) 立って焼香台まで歩いて行う 椅子席の葬儀場(最も一般的)
座礼焼香(ざれいしょうこう) 正座のまま膝で移動して行う 和室・畳の会場
回し焼香(まわししょうこう) 香炉を隣の人に回す 狭い会場・自宅

現在の葬儀場では立礼焼香が最も一般的です。座礼焼香と回し焼香は動作が異なりますが、抹香のつまみ方や回数は同じです。

立礼焼香のやり方|9ステップで解説

最も一般的な立礼焼香の手順を9ステップで解説します。

ステップ1: 順番が来たら席を立つ

前の方が焼香を終えて席に戻りはじめたら、自分の順番です。席を立って焼香台に向かいましょう。

ステップ2: 遺族に一礼する

焼香台に向かう途中で遺族の前を通ります。遺族に向かって軽く一礼しましょう。

ステップ3: 焼香台の前に立ち、遺影に一礼する

焼香台の前に立ったら、遺影(故人の写真)に向かって一礼します。

ステップ4: 数珠を左手にかける

数珠は左手にかけた状態にします。右手で焼香を行います。

ステップ5: 右手の3本指で抹香をつまむ

右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香を少量つまみます。つまむ量は少しで構いません。

ステップ6: おしいただく(額の高さに掲げる)

つまんだ抹香を額の高さまで掲げます。これを「おしいただく」といいます。

注意: 浄土真宗ではおしいただかず、そのまま香炉にくべます(詳しくは後述)。

ステップ7: 香炉に静かにくべる

抹香を香炉の炭の上に静かに落とします。指をこするようにしてパラパラと落としましょう。

ステップ8: 宗派に応じた回数を繰り返す

ステップ5〜7を宗派に応じた回数だけ繰り返します。宗派がわからない場合は1回で問題ありません。

ステップ9: 合掌して一礼し、席に戻る

焼香が終わったら両手を合わせて合掌し、遺影に一礼します。遺族にも一礼してから席に戻りましょう。

宗派別の焼香回数と作法|一覧表で確認

宗派によって焼香の回数と「おしいただくかどうか」が異なります。以下の一覧表で確認しましょう。

宗派 焼香回数 おしいただく 備考
真言宗 3回 する 3回とも額の高さに掲げる
天台宗 1〜3回 する 特に回数の定めなし
浄土宗 1〜3回 する 額の高さに掲げる
浄土真宗 本願寺派(西) 1回 しない おしいただかずに香炉へ
浄土真宗 大谷派(東) 2回 しない おしいただかずに香炉へ
日蓮宗 1〜3回 する 額の高さに掲げる
臨済宗 1回 する
曹洞宗 2回 する(1回目のみ) 1回目はおしいただく、2回目はそのまま

浄土真宗は「おしいただかない」

浄土真宗の大きな特徴は、抹香を額に掲げず(おしいただかず)、そのまま香炉にくべるという点です。

  • 本願寺派(西): 1回、おしいただかない
  • 大谷派(東): 2回、おしいただかない

他の宗派では額の高さに掲げるのがマナーですので、混同しないように注意しましょう。

曹洞宗は1回目と2回目で作法が異なる

曹洞宗では焼香を2回行いますが、1回目と2回目で作法が異なります。

  • 1回目: 抹香を額の高さに掲げてからくべる(主香)
  • 2回目: おしいただかずにそのままくべる(従香)

宗派がわからない場合

故人の宗派がわからない場合は、1回おしいただいて香炉にくべれば問題ありません。 回数にこだわるよりも、故人を偲ぶ気持ちが大切です。

香典の金額やマナーについては「香典の相場と金額」をご覧ください。

線香での焼香|宗派別の本数と立て方

法要や自宅への弔問では、線香を使った焼香を行うことがあります。

線香焼香の手順

  1. 遺族に一礼する
  2. 仏壇(祭壇)の前に座る
  3. 右手で線香を取り、ろうそくの火で点火する
  4. 火は息で吹き消さず、左手で仰いで消す
  5. 香炉に立てる(または寝かせる)
  6. 合掌して一礼する

宗派別の線香の本数と立て方

宗派 本数 立て方
真言宗 3本 三角形に立てる(手前に1本、奥に2本)
天台宗 3本 三角形に立てる
浄土宗 1本 中央に立てる
浄土真宗 1本 折って横に寝かせる
日蓮宗 1本 中央に立てる
臨済宗 1本 中央に立てる
曹洞宗 1本 中央に立てる

浄土真宗は線香を「寝かせる」

浄土真宗では線香を立てずに、適当な長さに折って横に寝かせるのが正式な作法です。他の宗派とは異なるので覚えておきましょう。

線香の火は息で吹き消さない

線香に火をつけた後、炎を消すときは手で仰いで消すのがマナーです。息で吹き消すのは「穢れ(けがれ)を吹きかける」として避けられています。

香典袋のマナーについては「香典袋の選び方と書き方」もあわせてご覧ください。

焼香のマナー・注意点|よくある間違いまとめ

焼香でよくある間違いや注意点をまとめます。

カテゴリ NG 正しいマナー
火の消し方 線香の火を息で吹き消す 手で仰いで消す
数珠 右手に持つ 左手にかける
抹香の量 大量につまむ 少量を3本指でつまむ
おしいただき 全宗派で同じと思い込む 宗派ごとに異なる(浄土真宗は不要)
回数 自己流の回数で行う 宗派に応じた回数で行う
順番 割り込む 前の方が終わるのを待つ
服装 カジュアルな服装 喪服を着用

服装のマナーについては「女性の喪服の選び方とマナー」もご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 焼香は何回すればよいですか?

焼香の回数は宗派によって異なります。真言宗は3回、曹洞宗は2回、浄土真宗本願寺派は1回、浄土真宗大谷派は2回です。宗派がわからない場合は1回で問題ありません。故人を偲ぶ気持ちが大切ですので、回数にとらわれすぎる必要はありません。

Q. おしいただくとはどういう意味ですか?

「おしいただく」とは、つまんだ抹香を額の高さまで掲げる動作のことです。敬意を込めて香を捧げるという意味があります。多くの宗派ではおしいただくのがマナーですが、浄土真宗ではおしいただかずにそのまま香炉にくべます。

Q. 数珠を持っていなくても焼香できますか?

はい、数珠がなくても焼香はできます。ただし仏式の葬儀では数珠を持参するのがマナーとされています。宗派を問わず使える「略式数珠」を1つ用意しておくと便利です。

Q. 焼香の順番はどう決まりますか?

焼香の順番は一般的に、喪主→遺族→親族→故人と親しかった友人→一般参列者の順です。葬儀社のスタッフが案内してくれることが多いので、指示に従いましょう。

まとめ

焼香のやり方と回数は宗派によって異なりますが、基本的な動作は「右手の3本指で抹香をつまみ、おしいただいてから香炉にくべる」という流れです。

特に覚えておきたいポイントは、浄土真宗では「おしいただかない」こと、そして線香は「息で吹き消さず手で仰いで消す」ことです。

宗派がわからない場合は1回おしいただいてくべれば問題ありません。回数よりも、故人を偲ぶ気持ちを込めることが何より大切です。


※この記事は一般的なマナーについての情報提供を目的としています。地域や宗派によって異なる場合がありますので、不明な点は葬儀社や全日本葬祭業協同組合連合会にご相談ください。

最終更新日: 2026年2月22日

参考情報・出典